PC-3100S/3200S - こんなSHARPのパソコンがありました
シャープは今でこそちょっと方向性がアタフタしていますが、それでも立派な大企業です。1970年には早川電気からシャープに名前を変え、1979年には最初の日本語ワープロのひとつである書院をリリースしています。「目のつけどころがシャープでしょ」というキャッチコピーが使われたのはもう少し後の1990年からですが、なかなかオリジナリティのある多くの家電を売っていました。
シャープのパソコンと言うとMZであるとかXシリーズが有名ですが、実は当初から本格的?なビジネスにも使えるようなパソコンを出していました。マイコンキットであるMZ-40K(パソコン博士)を出していた部品事業部からMZ-80Kが出たのが1979年で、情報システム事業部からは1981年にPC-3100Sと3200Sがリリースされていました。
シャープ : PC-3200S
時期としてはNECからPC-8801やPC-6001やベーシックマスターL3やFM-8が登場した頃です(MZ-80Bより少し前)。どこの会社もどの部署がパソコンを扱うのかが揺れていた時期みたいですが、シャープでも情報システム事業部ですからビジネスでも使えるような本格的なスペックを持っています。
CPUはZ-80がメインで誤差の生じにくい10進演算のBASICを搭載していました。廉価版のPC-3100Sは16Kのメモリとモノクロのディスプレイ、標準版のPC-3200Sは32Kのメモリとグリーンディスプレイで、こちらは最大で112Kまで増設することが出来たようです。もちろんオプションでミニフロッピーも用意されていました。
キーボードはしっかりとしたJISキーボードなのですが、いわゆる本物のJISなのでShiftキーがなく(アルファベット小文字は使えない)、ESCのありそうなところにはCMDというキーが鎮座しています。テンキーや多くのファンクションキー(ちょっと小さいボタンみたい)も備えていて、見た目はなかなか格好良いです。BASICもオフコン向けのものに近く(32Kもある)、画面上に表のようなフィールドを作って、その中で入力を行えるような構文が用意されています。他にもローカル変数も使えたようで、ビジネス向けアプリケーション(やサブルーチンとして提供されるパッケージ)を作りやすくなっていたようです。
こんな素晴らしいスペックなので、PC-3100Sで25万、PC-3200Sは39万円もしましたが(モニタは価格に含まれています)、当時の価格としてはお高めではあるものの飛び抜けたものではなく、使い勝手を考えればむしろリーズナブルだったようにも思います。ただオフコンのような売り方をしていたようで、一般の知名度はハッキリ言ってゼロに近いものがありました。とはいえ秋葉原では時折見かけることもあって、使われているディスプレイのデザインがちょっと可愛い感じがして目を惹いていました。
PC-3200S
ビジネス向けとして考えるとカラー表示が使えても、どうせ紙に出して使うのだからモノクロで充分(カラープリンタなんて随分と先の話)で、グラフィック機能があってもグラフを印刷するのにはプリンタの対応がまだだった頃です。だからある意味、理想のパソコンだと開発者は思っていたんだと思いますよ(メモリもイッパイ)。惜しむらくは販売網とパッケージの不足が足を引っ張ったのでしょう。こんな素敵なBASICを持っていたのに、MZシリーズでは使われなかったのは残念です。
その後、1982年にMZが情報システム事業部に移管され、名称は知名度のあったMZシリーズに統一されました。PCシリーズの後継としては、MZ-3500(1982年)、MZ-5500および6500(1983および1984年)が発売され、最終的にPC互換機に軸足を移していきました。
MZ (コンピュータ)
そういえば、こんな3Dデータを見つけました。
SHARP Personal Computer PC-3200S(1980:Japan)
ところで機種名にSが付くのか付かないのかという疑問があったのですが、どうやら海外向け(カナが無い)がS無しで、日本向けがS付きだったのかもしれません。
SHARP USERS CLUBE Nov-1999
https://sharpmz.no/original/sucmags/1999_11_v19n03.pdf
ヘッダ画像は、月刊アスキー1982年1月号に記載された広告(部分)
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