AppleDOSの進化
最初にリリースされたDOSは3.1で、細かな修正を加えながら3.2.1になりましたが、この間に仕様としての変化はありませんでした。ここまでが13セクターディスクと呼ばれる約110Kの容量のディスクを扱います。
3.3になった時に、ファームウェアのアップデートにより16セクターディスクを扱うことが出来るようになり、ディスク容量は約140Kになりました。このため3.3以前に作られたディスクと3.3以降のディスクには互換性がありません。但しDOSの仕様としては同じのママです。
この違いはディスクにデータを書き込むアルゴリズムを変えたためであり、メディアとしては同じディスクです。このアルゴリズムの話は
フロッピーディスクの本当の中身
で書きました。
永らく3.3が使われ続けましたが、Disk][以外のドライブを正式にサポートすることはなく、多くの互換ドライブが登場したものの、仕様としてはあくまで同一のものでした。これは、次第に大容量のフロッピーが登場したり、ハードディスクを使えるようにするためには大きな足かせとなりました。
何とかDOS自身に大きな変更を加えることなく、他のディスクを使えるようにするために、いろいろな工夫が行われました。例えばハードディスク(当時は8インチの円板を使っていました)の場合は、ボリューム番号を使って識別することにより仮想的に何十枚のフロッピーがあるかのように見せることで、アクセスしていました。この方法でフロッピー250枚分くらいまで扱えるので、当時のハードディスクは確か10Mくらいでしたから間に合いました。
急速に進歩するディスクデバイスを利用できないことは、アップル自身も問題として認識していましたが、DOSも含めDISK][自身がハードウェアべったりな作りになっており、何を変えても互換性を損ね、過去の資産が使えなくなります。そもそもDOSが利用できるメモリ領域も、これ以上増やすことが出来ず、何らかの変更を加えるには自身を拡張されたメモリ領域に移す必要もありました。さらに容量の大きなデバイスを扱うためにはDOSのコマンド体系やデータの管理方法も、そのままでは不便であったり、効率が悪くなったりします。
そこで数年の時を経てProDOSという新しいDOSがリリースされました。これにより最大32Mまでのディスクを扱うことが出来るようになり、これに合わせてセクターの管理方式も大幅に変更されました。但しBASICとのインターフェースに変化はなく、DOSコマンドはCTRL-Dで識別された入出力として実行されるというのは同じです。それなりに互換性にも気を使ったようではありましたが、DISK][しか使っていない人にとっては、さほど有用な機能はなく、にも関わらず使えるファイル名が短くなってしまったり、このDOSを使うためにはランゲージシステムと呼ばれた拡張メモリを積んでいる必要があったりと、メリットが感じられなかったために、今までのDOSを使い続ける人も多かったようです。ProDOSが普及したのは、もうDISK][を使わなくなったIIGSになってからではないかと思います。
なお、この辺りの知識は今でもエミュレータを動かす時に、出てくることがあるかもしれませんね。それなりに当時のフロッピーディスクのイメージファイルがネット上には残っているようです。
ヘッダ写真は人気のあった互換ドライブ。厚みが半分で素敵です。私はリンゴ印なしのDISK][とまったく同じデザインのを2台目以降に使っていました。
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