Deep TMSとは? rTMSとの違いとは?
Deep TMS(dTMS)は皆さん聞いとことはありますでしょうか?
rTMSとの違いはなんでしょうか?
今回はこの点について解説していきます。
まずはrTMSというのはなんでしょうか?rTMSのrは英語でrepetitiveで反復を意味します。つまりTMSという装置を反復して当てると治療という意味です。TMSというのは簡単にいうと頭に磁気を当てるイメージを持ってもらえれば大丈夫です。磁気を当てることによって脳内に電流が発生することで脳のネットワークを調整して抑うつ症状を改善していくというイメージです。
◾️rTMS装置(写真は保険診療で認められているニューロスター装置)
r TMSに関しては8の字コイルやバタフライコイルを用いて治療をすることが多いです。これらのコイルはピンポイントに当てたい部分に当てることができますが弱点があります。それは脳の深い部分に当てることができない点です。基本的には体表から2cm以内でないとうまく刺激することができません。つまり脳の「表面」にしか当てることができないのです。疾患によっては脳の表面ではなく深い部分に原因がある可能性があります。そういった疾患には8の字コイルやバタフライコイルなど刺激が届きません。
◾️8の字コイルの到達範囲
ではDeep TMS(d TMS)とはなんでしょうか?Deepという名前の通りHコイルいう特殊なコイルを使って治療をします。写真にあるように被り物みたいな装置に頭を入れて治療をします。コイルがH型になっているので脳の深い部分まで刺激が届くようになっています。脳の深い部分に原因がある場合には最適な装置となります。強迫性障害の場合は特にDeep TMSが効果的と言われています。
薬ではなかなか治らなかったり改善しない人の60%が症状の改善を認めています。佐藤二朗さんが強迫性障害を最近カミングアウトしたことで名前を知っている方が多いかもしれません。
◾️Hコイルについて(色々なコイルがあります)
◾️deep TMSの機械(日本で認められている機械はこんな感じです。)
Deep TMSに関しては治療機器としては承認されましたが保険診療はまだ認められていないので自費にての治療となります。うつ病にも効果があるとされていますが通常のrTMSとどちらが優れているかはまだはっきりとしていません。現在研究中の分野となります。
Deep TMSを実施できる施設は限られているので気になった方は一度問い合わせてから受診された方がいいかもしれません。東京などの首都圏でも数えるくらいしかないと思います。
今回は以上となります。
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