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東山魁夷氏作 秋翳(しゅうえい) MoMATコレクション展 東京国立近代美術館
先に記しました棟方志功展。
そのチケットで所蔵品展、MoMATコレクション展が鑑賞できますのでお見逃しなく。まずは志功さんの膨大な作品に触れて消耗したので4Fの眺めの良い部屋で腰掛けて休憩。いつも立ち寄るお気に入りの場所です。
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所蔵品展であるMoMATコレクション展は、もちろん季節毎に定期的に展示作品が入れ替えられます。春には毎年、菊池芳文さんの吉野桜を愛でに訪れます。
こちらは、私の好きなパウル・クレーさんの作品を多数所蔵されているので、今も展示されていないかと、今回は事前に展示作品を確認せずに伺いました。
アーティゾン美術館もパウル・クレーさんの作品が豊富ですよね。
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一番最初の4Fに一作品ありました。お気に入りの作品の前でしばし堪能。
その後、いくつか作品を愛でつつ3Fへ。
そして呆然。
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その部屋は、ありきたりではあるものの最も好きな芸術家と言っても過言ではない、東山魁夷さんの作品ばかりがゆったりと展示された部屋だったのです。
しかも、東山魁夷さんの作品を集めた展覧会だと混雑必至であるにも関わらず、この部屋は人もまばら。椅子も用意されています。
たまたま訪れた時が人が少なかったのか、いつもこうなのかは分かりませんが、なんという贅沢な空間と時間でしょう。
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そして奥の正面には、なんと氏の作品群の中でも私のお気に入り上位に位置する「秋翳(しゅうえい)」(タイトル写真の絵)が展示されているではないですか。
この作品は、絵葉書を何枚か購入して、額に入れて書斎に飾り、リモートワークの合間に目と心を時ほぐしています。
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ちなみに左下の葉は30年ほど前の高尾のイロハモミジ
右下の葉は5年ほど前の奥多摩のハウチワカエデ
その作品が、まさに紅葉の季節を迎える今、目の前に飾られています。
色褪せた時の為に何枚か絵葉書を購入したのは、随分前、おそらく京都で東山魁夷さんの展覧会が開かれた時に購入したもの。その後、この東京国立近代美術館や国立新美術館での展覧会でも鑑賞したのですが、今まで所蔵がこちらとは知らずにいました。所詮その程度のファンです。お恥ずかしい。
氏の作品は青のイメージが強く、最も好きな唐招提寺の山雲も青色基調ですね。
しかしこの秋翳の紅葉の多彩な朱、写実に過ぎない木々の描かれ方、空の広がりと奥行きの色。こちらも心を捉えて離しません。
離れて愛でた後は、
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近づいて細部まで凝視。
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そしてその後は、正面に適度な距離に置かれた椅子に腰掛け放心。
気がつけば、40分以上もその場に留まっていました。
(美術館の方、怪しく見えますが決して怪しいものではありませんのでご容赦を
。。)
失礼ながら、つい先ほど拝見した志功さんの印象が薄れるほど、静かで濃密な時間を過ごすことができました。
こちらのお部屋の展示も、棟方志功展と同様に12月3日までされるのだとか。また何度か訪れよう。
充実した芸術の秋の始まりです。
——-
(2023年11月11日追記)
飽きもせずに11/11に再訪し、前週の奥多摩の紅葉の余韻を心に残しつつ、また東山魁夷さんの世界に耽溺していました。
その際に学芸員の方に、毎年この東山魁夷魁夷さんの作品ばかりの部屋になるのか確認したところ、こんなに8作品も集められることは滅多に無いとのこと。
アンケートがあったので、毎年の恒例行事として頂くようお願いしておきました。