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認知症の旦那が入院したから会いに行く
専門的な内容ではなく、実際にあったほんわかするお話し。
タイトルから受ける印象の斜め上をいくストーリー…かも。
入院された御人は認知症をお持ちの80代男性。
積極的に院内を歩き回っていたけれど、ここ最近やや意欲が低下気味。そこに奥さんがお見舞いにいらした。よくある光景です。
奥さんの見た目は80代あたりで足腰は丈夫な様子。元気な足取りで旦那さんのもとへ訪れてきました。
奥さん「あんた~きたわよ~元気かしら」
旦那さん「おお~きたか、きたか」
元気がなくなっていた旦那さんは奥さんに出会えて声踊っているご様子。
ふたりの”ぎこちない会話”が病室に響き渡ります。
しばらくして看護師さんが訪室。
看護師「あれ?〇〇さんの奥さん?旦那さんは隣のお部屋よー」
奥さん「えー~そうなの~」
なんと、奥さんのほんとうの旦那様は隣の病室だったのです。
ウキウキ気分の旦那さんも、面会にいらしたご婦人を自分の奥さんだと思っていたようで。
ご婦人は看護師さんに連れられてとなりの病室へ移動。旦那さんは残念ですがまたおひとりに。コミュニケーションどうやって成立(?)していたのだろうか…。
どうやら面会にこられたご婦人も認知症を発症されていたようで。
これはこれでなんだか微笑んでしまいました。
認知症ってのはボケちゃってなんでもかんでも忘れちゃうわけではなく『大切なことはいつまでも忘れない』のです。
認知症は原則として「障害記憶」からスタートします。
個々の症状や進行は患者によって異なります。記憶障害以外での認知症状の進行も考えられます。
ついさきほどあった出来事を忘れてしまう「短期記憶」の障害からスタートし、徐々に「エピソード記憶」までも、ぼんやりとしてくる。
よくあるのが「ご飯食べたでしょ」からのギクシャク問題。
まわりが「ごはん食べたじゃないの!」といっても、本人にとっては知らない出来事なので反発心が出てしまい、疑心暗鬼な気持ちがそこに留まってしまう。
それが事実であっても、見ず知らずなことを言われた本人は「私は尊重されていない!」と心傷します。「身近な人には理解してほしい」という思いも募りはじめ、いつしか爆発して、怒りっぽさに拍車がかかる。
ただ、先ほどのご夫婦ようなケースだとほんわかします。
どんな状態であっても頼るべき人を知っているというか、家族の信頼は切っても切れないんですね。それが感じられるから会いに行った、そして迎え入れた。
会いに行く人物は間違っちゃいましたけれどね…(笑)
今後もますます増えていく認知症ですが、旦那さんとご婦人のような話しを見聞きすると、どんな時代になっても、如何なる状態になっても、ひとの息吹はそこに在るのだと。
とはいえ、介護疲れといった難題もあるので、微笑ましい話ばかりではありませんけれどね。
では。
認知症の診断と治療:日老医誌 2011;48:195―204
アルツハイマー型認知症の診断と治療:神経雑誌(2008)110巻 7号