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【読書録】本を読む前にエアコンの掃除をすべし、です! - 2019年6月号

最近、自室エアコンの内部清掃をしました。

うっすらとカビの匂いが漂っていたので、本格的な夏のシーズン前に済ませておきたかったのですが、これがまた、なんかやべーくらい汚れが出てきてびっくりです。かなりガチ引きする汚さでしたので、これからはもっと頻繁に清掃すべきだと思いました。想像の10倍くらいは汚かったね。

「本当に大切なものは目で見えない」なんて、言うじゃないですか。エアコンも目で見えない中がヤバイです。まさか、あんなにも黒いなんて……。

でも今は、ぴかぴかで爽やかな涼風を送ってくれる頼もしいやつ。そんなこんなで6月に読んだ本のまとめとか、そんな記事です。

『今夜、きみは火星にもどる』/ 著・小嶋陽太郎

高校一年生の国吉は数学の試験で見事なゼロ点を取り、夏休みの間に補習を受けることになります。そして補習には、国吉が少し気にかけている佐伯さんも参加していました。

佐伯さんは小学生の頃から火星人を自称する頭のイタイ女の子。補習の合間、不思議なことに国吉は幾度も白昼夢を見続けます。それは佐伯さんと同じ顔をした火星のお姫様と暮らす夢。あまりにも現実感のある夢の内容に、国吉は佐伯さんが本当に火星人なのではないかと信じ始め、ふたりの距離は少しずつ近づいて……。

ミステリアスな女の子とのボーイ・ミーツ・ガールを描く、ちょっと不思議なSF青春物語。

主人公の国吉と佐伯さんはもちろんのこと、周りのサブキャラたちがすごく良い味出している作品だと思いました。国吉の親友のバカな水野、国吉につきまとう高見さん、そして担任の山口先生。彼らがいるからこそ、イレギュラーな存在である佐伯さんと、主人公である国吉の日常がバランス良く物語に溶け込んでいるように感じます。

それと、この小説の面白さのひとつは、誰が、どこで、うそをついたのか、だと思いました。あるいは、言葉通りにうそをついていないのか。何が虚構で、何が真実なのか。その見極めがなかなかに難しくて、だからこそ面白い作品でした。


『極北のひかり』/ 著・松本紀生

写真家・松本紀生さんのアラスカ撮影について書かれたノンフィクション。一年のうち半分以上をアラスカで過ごし、原野で野生動物やオーロラを撮影する生活はなかなかに過酷で孤独なもの。でも、何物にも代え難い自然の世界と、自由な冒険があります。

私にとってアラスカと言えば、星野道夫さん。

彼の没後もたくさんの日本人がアラスカに旅立ち、それぞれの人生を歩んでいきました。松本紀生さんもその内のひとりです。松本さんの撮影した写真や文章からは、星野さんとはまた違う、ひとりの人間の生き様やアラスカの姿が見えてきます。ひとつの時代が過ぎ去っても、やがて続いていくものがあることに、どうしようもない嬉しさを感じてしまいました。


『英語とは何か』/ 著・南條竹則

今年は少しずつ英語の勉強をしたいなあと思い(もう半年過ぎたがな)、購入した一冊。

学生時代はほんとに英語がダメでいつも赤点ぎりぎりを彷徨っていました。リーディングは多少できたけど、ライティングやリスニングはさっぱりで、単語とか文法とかもちんぷんかんぷん。あの頃は何を勉強すればいいのかすら、よく分かっていませんでした。

そんなわけで、とりあえず「英語とは何か」から始めようと思い、その意味でもすごく参考になった一冊です。これを読めば「英語力が身につく」という本ではありませんが、英語を学ぶハードルが少し下がったような気がしました。


『メイドインアビス 8』/ 著・つくしあきひと

深界六層、成れ果て村の住人すら知らない過去を語り始めたヴエコ。かつて羅針盤の導く黄金都市を目指して故郷を捨てた決死隊「ガンジャ」の生き残りだと言う彼女は、その壮絶な冒険の一部始終をリコたちに語ります。アビスの呪いを……イルミューイの願いを……村の成り立ちを……ファプタの目的を……。

成れ果て村編もいよいよ佳境に入ってきました。ヴエコの口から語られる過去はあまりに壮絶で、度し難い。正直、ここからどんな結末に至るのか全く想像がつきません。次巻がすごく待ち遠しい一方で耐えがたい展開に心が折れてしまうのではないか、そんな不安も少しだけあります。

しかし、ベラフの「眼差しこそが美しさの本質」「誰もみつけたことのない光は真の闇の中にしかない」といったセリフはすごく良いですね。その上で、容赦のないアビスの呪いでベラフの眼差しを濁らせ、闇の中で見つけたものはやはり闇だったとヴエコに突きつけるの、ほんとに度し難いです。

6層からのアビスはより一層に度し難いです。人の殻を破った、その先の光景を突きつけていくの、正直結構きつい部分もあります。でも、だからこそ、次巻以降でリコたちがどうするのか、楽しみで仕方がありません。


『とんがり帽子のアトリエ 5』/ 著・白浜鴎

つばあり帽の襲撃でキーフリーは負傷し、ユイニィは禁止魔法で鱗狼の姿に変えられてしまいました。ココたちはユイニィをどうにかして救おうとしますが、つばあり帽は執拗に禁止魔法を使わせようと誘惑してきます。どうして彼らはココのことを希望の子と呼ぶのか、その目的とは……。

『とんがり帽子』もいつの間にやら第5巻。第1巻から、ほんとにとんでもない作品が登場したと思ったけれど、5巻まで進んだことでより確信的に思いは強くなりました。マジでとんでもない作品だと私は思います。絶対に世界中を沸かす作品になれるって、コレ。

特に4,5巻で描かれるロモノーン編の敵キャラがすごく好きです。つばあり帽のデザインはおぞましいけれど魅力的で、魔法を駆使した戦闘シーンには美しさすら感じてしまいます。p.161とか凄すぎです。誘惑の言葉に耳を傾けそうになってしまいそう。

それに、ココたちの精神的な成長や深まる絆がきちんと描かれているところも良いです。アガットとココいいよね、いい。


『トロイメライ』/ 著・村山早紀 + げみ

小説家の村山早紀さんとイラストレーターのげみさんによる、短編+イラストの合作本。表題作のトロイメライがすごいジーンとくるお話しですごく良かったです。げみさんのイラストが柔らかく暖かいからこそ、物語の楽しいところや少しせつないところがより一層、胸に響きます。

ひまわりの道と、さくらの中の猫ちゃんの絵が私のお気に入り。


『ロイスと歌うパン種』/ 著・ロビン・スローン

サンフランシスコのIT企業で働くロイス・クラ―リーは激務の中でろくに食事も取らず、心身ともに疲弊していました。そんな彼女を救ったのは兄のベオレグと弟のチャイマンが経営する宅配レストランのパンとスープ。

マズグの料理だと言う彼らのそれは絶品で、ロイスは毎日のように宅配を頼み、彼らとも親しくなっていきました。ところがある日、彼らは国を去ることになり、残されたロイスに秘伝のパン種を譲り渡します。

料理なんてろくに出来ないけど、譲り受けたパン種を使ってロイスはパンを焼き始めました。最初は不器用に、でも少しずつ上達して、次第にパンの虜になっていくロイス。やがて、そのパンは評判を集めて……。

『ペナンブラ氏の24時間書店』の著者、ロビン・スローンさんの新作小説は、社畜で精神ずたぼろの女性がパン焼きに目覚める物語。前作でも顕著でしたが、伝統技術と最新テクノロジーの共存こそ著者の語る大きなテーマのひとつです。

革新的なIT技術と伝統的な自然製法は、常々、どちらがより優れたものかという話題になりがちです。でも、これらが対立しないところがこの作品の面白いところで、IT技術者だからこその視点でロイスは誰にも真似できないパンを作り上げていきます。

とにかく、おいしいパンが食べたくなる物語!


『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、決意の最終楽章 後編』/ 著・武田綾乃

全国大会金賞を目指して府大会を突破した北宇治高校吹奏楽部。ベストメンバーで関西大会に挑むため、今年度から大会ごとにオーディションが開催されます。Aメンバーを目指す競争意識と緊張から皆の演奏技術は確実に向上していく一方、部内の人間関係も次第にピリピリとし始め、一触即発の空気の中、ついにオーディションの結果を巡って久美子と麗奈がぶつかってしまい……。

『響け!』シリーズ、久美子3年生編がついに完結! 今後は短編集の発売が予定されているそうですが、ひとまず、これにて『響け!』シリーズの本編が完結しました。めでたしめでたし。

最終楽章は部内の空気がすごいピリピリしてるし、久美子は進路のことでも胃がキリキリとしているから、読んでいるとなんだか居たたまれない気持ちになってきます。でもまあ、これまで積み上げてきたものがありますし、終盤の展開は概ね予想通りなので、最後まで安心して読むことができました。

やっぱり、物語はハッピーエンドが良いじゃん!

そして、ラストのバスに乗るシーンは何が何でもアニメで見たいと思いました。久美子の3年間が詰まった最高のシーンです。ニヤニヤが止まらなくて、でも無性に泣けてきます。流れ出すEDテーマ、スタッフロール、そして最後のCパートのエピローグ、そんな光景が目の前にありありと浮かんでくるようでした。

最終楽章のアニメ化、よろしくお願いしますよ!


『響け! ユーフォニアム 北宇治高校の吹奏楽部日誌』/ 監修・武田綾乃

『響け!』シリーズの公式ファンブック。最近になって重版されたのでようやく入手できました。

原作者インタビューやシリーズの解説などが載っていますが、何よりも注目したいのがふたつの短編、北宇治高校吹奏楽部の定期演奏会を描く『冬色ラプソディー』、そして立華高校との合同演奏会を描く『星彩セレナーデ』。両作とも『波乱の第二楽章』の前日譚ですが、本編との直接的な関係はないため読んでいなくても支障はない短編作品です。とは言え、読みたくなるのがファン心理!

立華高校いいわー。やっぱり好きだわー。梓がいい。久美子、麗奈、梓の絡みが最高ですね。あすか先輩も出てきたのめっちゃ嬉しかった。あと、香織先輩の圧が凄かった。香織先輩の、圧が凄かったです。

『響け!』シリーズもついに完結。入手しづらかった過去作も重版や電子書籍化が進みましたし、ぜひこの機会に新しい読者さんが増えて欲しいなあと思います。立華高校編もぜひぜひアニメ化して欲しい。


『アズールレーン びそくぜんしんっ! 1』/ 著・ホリ

ホリさんの描く女の子、ちょーかわいくて好き。ジャベリンかわいいよジャベリン。なんつったってうちの初期艦ですし。でもでも、ジャン・バールさんが一番好きです。強いしカワイイし、うちのエースですし、ホリさんの描くジャン・バールさんはとても良い。


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