あったかい友情
まったくもってうかつだった。
今回日本に帰国する直前、カナダの友人が一冊の本を私に贈ってくれた。
Puffin Books の(ペンギンブックスの子供むけ)
Sadako
原爆で犠牲になった少女、禎子さんのお話。
ご存じの方も多いだろう。
生きることへの願いを込めて彼女が折った千羽鶴。
叶わなかった願いは多くの子どもたちの犠牲を悼むとともに、平和の祈念として広島に原爆の子の像が建てられた。
リーディングクラスの本選びが難しい。そう話したのを友人が覚えてくれていたのだ。
簡単な英語を使ったお話は内容が幼稚すぎる。
英語学習者用に書き直されたお話は端折りすぎて面白くない。
ところがまったくもって私ときたら、この本を今の今まで手に取ることがなかったのだ。
表紙を開けると
彼女からのメッセージが書かれていたのである。美しいハンドライティングで。
ドキリとして胸が熱くなった。
夫が亡くなった直後からずっと私のことを気にかけてくれた彼女。
ひとりで寂しいんじゃないかって。
毎日テキストメッセージを送ってくれた。
Good morning
とか
Good day, Kazu
そんなひとことを
毎日。
それなのに本に添えられたメッセージに気づいてなかった私。
彼女の優しさを思い出しながらSadakoのページをめくる。
シンプルな文章がすっと心に入ってゆく。
読みながら思わず涙。
第二言語で書かれた本のリーディングは、その言語のままどれだけ内容に没頭できるかがポイント。母語に翻訳することなく読み切る。
英語が第二言語で、あまり英語のお話を読んだことのない人にいち押しの一冊!
そして友人のこの本の選択がさすがだと私は唸った。
長年子供たちの教育に携わってきた彼女である。
本のエピローグには像の下に彫られたメッセージが添えられていた。
実際の像の碑文は
東京で運営するリーディングクラブの大切な一冊となった。
追記(2/21 2023)
ちょうどこの記事を上げた直後、友人のナナが
>>日米の団体が禎子さんの折り鶴などユネスコの「世界の記憶」への登録に向けて準備を進めている
と知らせてくれた。
世界の人々に平和への祈りが受け継がれていきますように