忽然と消えるミステリー
ブライアンがいつものブーニーハットでやってきた。
ニンニクの様子はどうだい?
裏庭のビーチ側のフェンス越しに話しかけて来る。
私は木製階段をかけ降りた。
壊れかけのフェンスドアを開けて彼を野菜ガーデンに招き入れる。
昨秋ブライアンからニンニクを分けてもらった。
外で冬を越せるというのでその10かけらのニンニクを一列に植え私は日本に一時帰国した。
春先に戻ってくるとそれは思いのほか伸びていて
うふふっ🎵
ところがここにきて様子が芳しくなく。
そんな話を以前にしたのでわざわざ見に来てくれたのだ。
なんせ
カンタンカンタン、いくらでも育つよ!
そうブライアンが言ってたものだから。
6月になって植えたズッキーニやスクワッシュはそばですくすくと大きくなっている。
ブライアンちのニンニクはもうスケイプと呼ばれる部分がカールして伸びてきているという。
雨量も水撒きもそばの野菜たちと同じ。
何が違うって、それは土である。
全く自分では動かせない分量の土のバッグをオーダーしたのはこちらカナダに戻ってから。
だからそれ以前に植えたニンニクたちは、ビーチと同じ砂地。
水はけがよすぎるんだろうなあ
ブライアンが言った。
しかしスクワッシュが育ってるね
うちのは一つも芽を出さないんだ、ひとつもだよ!
動物が掘った形跡もないし・・
実はうちでも同じことが起こっている。
お豆類の苗を外に植えかえたあと鳥よけにネットをかぶせた。
しかしそのすぐそばに一列にダイズの豆7つばかりを植え、でもネットをかけなかったのだ。だってまだ芽も出していないのだから。
そしたら何週間たってもひとつも出てこない、ひとつも!
指で土を掘り起こしてみると、影も形もない、どこにも!
忽然と消えている・・荒らされた後もないのに・・
真相はわからない。
が、ブライアンと二人で↑を疑っている。
しかし土の中の種のありかをどうやって知ることができるのだろう?
ブライアンはそのあと自分ちのニンニクのスケイプスを持ってきてくれた。
翌日の今日も夏日。
きっとブライアンはアイリーンのスイミングのお付き合いに湖にやってくるだろう。もともとは湖に泳ぎに来ていたアイリーンが湖に入っていた私に話しかけてくれて友達になったのだ。
多分70代も後半のカップル。
アイリーンが泳ぐときは必ずブライアンがそばについている。
そういうことが今の私にはとても羨ましい。
午後になってビーチを見ていると
いたいた、おふたりさん!
昨日のニンニクスケイプのお返しに種から育てたラディッシュのスプラウトを持って行こう。
ラディッシュスプラウトってなんだ、カイワレ大根のことだよね?
と言われそうだが、パッケージにRasdish seedsとあると、私には日本語で言うところのラディッシュなのか、大根なのかわからない。
ダイズは少し水に浸して根を出してから再度外植えに挑戦である。
今度は念入りにネット張るつもりである。
これでまた忽然と消えたらこの事件は迷宮入り必至。