自分がコントロールできることは何?
環境や人間関係で、クライアントが問題に直面してどうしたら良いかわからない時、私がよくする質問がある。「あなたがコントロールできることですか?この状況であなたがコントロールできることは何かしら?」
例えば、外は大雨。でも買い物に行かなければ、夕飯となる食べ物がない。そんな時、我々は、雨合羽、長靴、傘などで濡れない工夫をして、買い物に出かけます。夕飯の食べ物がないことを、雨のせいだ!と文句を言って嘆く人はあまりいないだろう。
これは、あなたの「Locus of control/統制の所在」は内在していて、コントロールできない外界に依らないで、自分を工夫して、変えたりして、自分の意志を遂行しているから。もし「Locus of control/統制の所在」が外界にあったなら、雨に怒り、天を罵倒し、無力な自分を悲しく思うだろう。
雨ぐらい当然ですよ、と思うかも知れない。でも最近起こった事件で、尋常でないすごい例を見た。それは、大リーグで活躍している大谷選手。私は彼のコーチでもないし(笑)、真意は全く知らない。ニュースの断片から想像しているだけだが、彼の「Locus of control/統制の所在」が内在していることが明確だなぁ、と感じる。
一般的なニュースによると、最も信頼し心を許していた人(友人)からの裏切り、お金の使い込み、全てを任せていた自分自身、マスコミの極度の注目、チーム(仕事)への責任、等々が報道されている。彼の胸中を察すると、想像を絶する怒り、苛み、後悔、不安が渦巻いていたと思う。
ここまで大きな事件が起こったら、外界からの影響は半端なく、多くの人は、感情と思考が混乱し、調子を崩しかねない。でも、彼は元々パワーを外界に委ねていない。外界の影響や判断で自分を責めたり、怒ったり、罪悪感をもったところで、生産性は上がらず、自分のパワーを削ぐだけと知っているようだ。
起こってしまったことは、もはや彼の手に追えるものでは無い。だったら、自分自身と自分がベストを尽くすことに集中すべきことを知っている。あの事件発覚から、短期間にコントロールできることと、できないことを識別し、切り離し、自分にフォーカスしている。そして、いつも以上のパワーを発し続けている。
本当にすごい人だなぁ、と思う。
今、あなたの「Locus of control/統制の所在」はどこにある?
参照:「続 自分がコントロールできることは何?〜文化分析編」
〜おまけ〜
天気の例をもう一つ挙げるならば、北欧では、「雨ぐらいどうってことない・・・」というレベルではなく、天気の問題は深刻。
冬の日照時間が極端に短くなるので、日が短くなることを、お天道様が決めたことだからと諦めてしまうと、「Locus of control/統制の所在」を天気に簡単に握られてしまう。すると、気分が暗くなり、パワーを奪われる。うつ病も北欧では普通のもの、と屈することは簡単。
しかし、北欧の人々は、「Locus of control/統制の所在」を内在し、諦めず生きていく術を工夫してきた。意識的に運動する、人々と交流する、ビタミンD3を取る、人工的な太陽光ランプやキャンドル灯す生活、等々。
太陽の周期では、今週に夏至を迎える。3月末の復活祭に、冬に屈せず自分を鼓舞して乗り切ったことを盛大に祝う。その祝いが夏至祭でピークを迎える。そして、徐々に次の冬に向けて、「Locus of control/統制の所在」を内在するエネルギーを蓄える。
この12週間的区切りは、ほぼ自然のリズムとも呼応しているよう。心身を振り返り、仕切り直すのに良い時期だろう。
Photo: 九品仏の浄真寺、正門。私たちは、この文章をどちらから読むか選ぶことができる。