
コーチングは、「未来型のツール」
昨年・今年出逢った日本でのクライアントは、ほとんどがコーチングが未経験だった。
コーチとしては、コーチングという「未来型のツール」をどのように伝えられるか、とても責任を感じると同時に、クライアントの第一歩に関われたことをとても光栄に思った。
だからこそ、変なメンタリングを入れ込んだ中途半端なコーチングではなくて、純粋なコーチングの良さを体験してもらえるよう、私も基本に帰るよう心を尽くした。
それでも、伝わった人々、伝わらなかった人々、私は同じようにやっていても、結果は様々だ。
言葉で説明しても、コーチングを経験したことのない人たちは、飽き飽きしてしまう。だから、実践を繰り返すよう促すが、アドバイスもないものには、自分に利がないと決めて途中で辞めてしまう人も多い。
その中には、何回かやっていくうちにこのツールにハマる人、それをどうやって使おうか?試行錯誤するクライアントが現れる。そんなクライアントと共に成長できるコーチは幸せだ。
はっきり言おう。コーチングは、「誰か」に特殊な知識やテクニックで癒してもらったり、アドバイスをもらう場ではない。
コーチングは、「他の誰か」ではなく「自分自身」と向き合い、自分を知り、信じていくための場だ。
どうして「未来型のツール」なのか?
私が「未来型のツール」だなぁ、と思う理由には2点ある。
第一点は、話を聞いてもらって、問答を繰り返すだけで、特に「アドバイス」や「癒し」が得られる保証はないというサービスに前世紀の人間はお金を払わないだろう。何も「獲得」できていないと感じるだろう。
あくまでもコーチングの対価は「獲得する何か」に対してではなく、そのサービスが「機能した時間」に対して支払われる。コーチが、クライアントの頭をフル回転させる時間を提供するのだ。「獲得」できるものがあるとすれば、それはクライアントの能力次第になる。
また、デジタル化等による圧倒的な情報量の多さを、たった40年弱で一般人の脳がすんなり許容できるようになるだろうか?否。今後、AIとの共存により、更に多くの情報が手に入ることは容易に予測できる。
この早い進展に、古代からほとんど変わらない人間が対応できなくて、様々な精神的障害やストレスを受けるのは無理もない。
一人の頭では整理しきれない情報量を、少しでも軽減できるのが、「話す」という行為だ。コーチングの「機能した時間」は、話して吐き出すことにより、整理して、再度脳へ取り込む行為を助ける。
もう一点は、今の予測のつかない未来を生きていく上で必要なツールになるだろうと思うから。これまでの常識や社会が曖昧な答えしか持っていないとき、何を頼って判断して、生きていくのか?
頼るべきなのは、自分自身なのかもしれない。
それなのに、私たちは意外に自分のことを知らない。自分はどういう人で、何を望んでいるのか?これは具体的に、クライアントと関わって、そのような現状だからだ。
曖昧な世の中で、頼るべき自分も曖昧。なんとなく生きていると、曖昧な常識や社会、変に主張する他人に押し流されて、訳のわからない方向へ行きそうだ。これではモヤモヤと不安が増しても仕方ない。
コーチングは、この状態を言語化して、意識層にもってくる手伝いをする。
最初は上手くできない。人によるけど、3回でパタパタと動く人から、20回かかってなんとなくわかる人など。人はそれぞれ。
この意識層にもってくることは、「自分自身を知る」作業でもある。それまで、ボヤーとした自分像を「私はこういう人です」と自分の輪郭・境界線を明確化する。範囲が決まるから、その範疇の自分自身に責任が持てる。
この輪郭を持った自分は、他人と協力する上でとても大切だ。「自分はこう思うけど、あなたはどう思う?」といった、「自分」を保ちつつ「あなた」も尊重できる、協力体制のベースが構築できる。