今どうして「自分軸」なのか?
日本でコーチングを始めて以来、日々、私のコーチィ(クライアント)に連呼している言葉がある。それは、「自分軸」。この言葉を最初に誰が発したのか、どうして今人気があるのか実は知らない。でも、日本のクライアントの方々は知っているようで、とても便利であるし、私にもしっくりくる。
実際発しているだけでなく、ちょっと深く考えた。どうして今この言葉が大事なのか?そして、特にコーチングを理解してもらう上でどうして重要なのか?
コーチングは「自分軸」を育てるツールだからだ。コーチングは元々、西洋の個人主義的から生まれたツールだ。個人のゴールや人生の目的を明確にして、それを応援する。日本でコーチングし始めて第一にぶつかった壁がこのゴール設定だ。
コーチィの多くが、個人のゴール設定を考えたことがないか、無意識に言ってはいけないことのように感じていることが伺われる。それを指摘してもあまりに無意識で、コーチィも困ってしまう。
それは当然である。我々のカルチャーの地下深くに流れているのは古代の思想から受け継い家族・地域・集団・社会の意志を重んじる文化。民俗学で文化を真摯に学んだ私としては、ここで簡単に、collectivism/集団主義的思想 vs. individualism/個人主義思想と二極化するつもりは全くない。ただ、自分の意志を極力消し、他者の幸せを優先させることを美とする文化は、コーチングとは対局にある。
今、どうしてコーチングが求められているのか?私は以下のように考える。
集団主義文化において、個別化の必要性が高まっているから。集団文化では、個人の安心感を団体・組織・政府と共に培ってきた。現在、この個人の安心感を十分に満たすことができていない。その一方で、団体・組織・政府は、これまで集団文化へ依存して資本主義社会を成り立たせてきた。日本人が古来もっているこの伝統的な美意識(忠誠心、勤勉さ、品質志向等)、我々の人材的・文化的資本に頼りきっている。
ところが、現代の本格的グローバル資本主義によって、頼られ過ぎている人的資本が疲弊し(長時間労働、過労死、燃え尽き症候群等)、文化的資本の喪失の危機(責任感、品質等)が顕著になってきている。集団文化へ依存して資本主義社会を成り立たせていた歪みが、もう限界を超えつつあるか、超えてしまっている。
組織や社会が私たちの幸福や安心感を確保できないとき、私たちは誰に頼るのか? 言うまでもなく、自分自身だ。しかも、私たちはボーダレスな世界に身を置いてる。 物理的には、国、文化、個人の間にまだまだ多くの境界がある。けれど、知的国境はないに等しい。私たちが置かれている状況は、脆弱でもあり、自由でもある。自分が望む誰とでもアイデアを共有できるような境遇だ。
今日の水瓶座新月は、その意味においても非常に強力。 水瓶座は、我々が集団・組織とどう関わっていくべきかといったグローバル コミュニティを示唆するサイン。集団での生活、組織における協力の必要性を著している。と同時に、水瓶座は、自由と個人が自分らしくあることに重点をおく。一見相反する要素をもった水瓶座は何を言わんとしているのか?これは、私たちが欲求やニーズを殺して自分を失うことはだめ。私たちが自分の足で立って、私たちが属するコミュニティに独自の方法で貢献できるようになること、を薦めている。
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