CHROって人事専門家じゃなく経営者視点がないとムリよね。
三品先生の「経営戦略を問いなおす」を約8年ぶりに読み返した
2006年に筑摩書房から初版本が出た三品和広先生の「経営戦略を問いなおす」を出張のお供に8年ぶりに読み返した。20年以上前に書かれた本とは思えないくらい、一貫した本質が書いてあり、時々、吹き出しながら楽しくそしてシビアに振り返りながら読んだ。
経営人材の選択と集中が企業の命運を握る
この本の後半は、サクセッションプラン(後継者育成計画)に関する話題だ。そう、戦略は紙の上でもMBAの授業でもなく「経営者の頭の中」に存在するものだからだ。
三品先生の下記のご指摘は経営をやっているものからするとめちゃわかる。紙にきれいに書いてそのとおりになるなら経営者なんていらない。
では、どんな人材が経営者としてふさわしいか、それを選ぶ基準はテンパラメント=気質だと先生は指摘している。気質を磨くにはどうすれば良いかなどのヒントも書かれてある。ぜひ、皆さんにも読んでいただきたいものだ。
CHROは決して人事専門家ではない、と考える理由
さて、ここにきてようやくタイトルの話だが、この本が書かれた2006年ぐらいでは、まだCHRO(最高人事責任者)というポジションはなかったかと思う。この本にも、経理や人事は高度な実務をこなすスペシャリストとなり、経営から遠ざかってしまったと書かれてある。
確かに経理や人事は極めて専門性の高い職種なので、専門家集団としての存在は重要だ。
ただ、人事に関しては、人材こそが企業組織を形作るものと考えれば、単に人事管理テクニックを有するだけでは難しいのではないだろうか。
この本にも、”人事の仕事は「公平」を確保することだと勘違いする人まで続出する始末です”とある。確かに公平は大事だが、現場の能力を高めるための取り組みや次世代の後継者の選抜などおこなう上で、公平とはまた違った「事業観」を人事には求められるのではないか。特にCHROというポジションの人には、事業観を持った人事責任者であってほしい。
しかしながら、CHROというポジションでありながら、実際は社内人事コンサルタントみたいな人も多いような気がする。今流行りの人事制度の導入や最新の教育体系づくり、HRテックの導入など、たしかにやるべきことは多いのだろうが、もっと人材と自社の事業環境との本質を見極めていってほしいものだ。
え?なぜこんなことを言っているかって?
ウチのサービスは人を扱っているので、人事部案件と思われているのですが、実は経営案件なのです。
ウチのお客さんは経営者か事業部門経験がある人事責任者がほとんどで、ウチのサービスに対する共感をしていただけます。
現時点では事業観を持った人にしかわからない人に関するサービスだけど、これからは変わってくることを期待しています!