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#2【リレーションモデル】ブランドとステークホルダーの関係を可視化するフレームワーク

こんにちは、株式会社MIMIGURIという経営コンサルティングファーム会社でコンサルタント/ストラテジックプランナーをしている山内です。

前回の#1のnoteにて、現在私がクライアント企業様との実践の中で検証を深めている『リレーションモデル』についてご紹介しました。

『リレーションモデル』は、ブランドとそれを取り巻く各ステークホルダーがどのような関係性を構築できれば、ブランドが生み出したいインパクトと、各ステークホルダーの便益を最大化できるか?を整理することが目的のフレームワークです。

前回「#1【リレーションモデル】ブランドとステークホルダーの関係を可視化するフレームワーク(概要編)」を投稿させていただき、SNSでDMをくださる方がいらっしゃったり、現場でご活用いただいた方もいらっしゃったりと、ありがたい反響をいただきました。
今回も不定期の探究連載として#2をお届けします。


リレーションモデルのケーススタディ

前回の#1のnoteを読んでいただいた方から「具体的にはどのような内容が入るの?」という声をいただきました。ですので今回のnoteでは記入例からご紹介していきます。


- 記入例 1️⃣

事業多角化戦略に取り組む素材開発メーカー発の「生活用品​​D2C​ブランド」​のケース

- 記入例 2️⃣

将来的な​国内市場拡大​に取り組む食品メーカーが立ち上げる「BtoBtoC新​ブランド」​のケース

どうでしょうか?イメージは膨らみますでしょうか?
いずれもビジネスモデルや業界、ブランドの成長フェーズも異なるため、登場するステークホルダーも多様であり、理想の共創関係の言語化もさまざまな描きっぷりで表現することができます。自社もしくはご自身が管掌されているブランドやテーマを中心に据えた場合、どのようなリレーションモデルになりそうか、ぜひ想像してみてください。

また重要な観点として、このリレーションモデルは内部ステークホルダーに共有し部門横断の対話を行うことで効果を最大限に発揮するフレームワークのため、「ブランドを主体的に作り上げるステークホルダー」と「ブランドを支援する/支えるステークホルダー」の間で目線合わせをしやすい言語粒度で表現することもポイントとなります。

さらに、同じブランドでも1年後には新しい内容に更新されていくことが高い確率で想定されます。なぜなら単年度でブランドの戦略は間違いなくアップデートされるためです。「フレームワークを作って完成!」ではなく、一度埋めてみたリレーションモデルを、モデル内に登場するステークホルダーと共有し、相手方の景色を取得し対称性を高めていくプロセスを、作成者の山内は重要視しています。

では、どのような順番でリレーションモデルを扱えるとよいのか?次のセクションで作成STEPについてご紹介します。

リレーションモデルの作成STEP

作成のSTEPを一枚にまとめるとこのようになります。全部で8つのSTEPを進めることでリレーションモデルは作成することができます。

リレーションモデル作成の8つのSTEP イメージ図

このようなプロセスを経て、現在はリレーションモデルの作成を定義づけています。
まずは一人で考えてみる「I主語」から立ち上げるパターンや、ブランドに関わる同部門の主要メンバーでコンパクトにディスカッションし、「チーム内のWE主語」をまずはしっかり言語化するパターン、はたまたブランド関係者を部門横断で一挙に集めてワークショップ的に「社内関係者全員でのWE主語」を作成していくパターンなど、進め方はさまざまに検討ができます。

8つのSTEPの中でも、より重要度が高く、意見や景色のバラツキが出やすい箇所は以下の3つのSTEPです。

- STEP4について

ブランド​と各ステークホルダーの間で、 どのような価値共創の関係性を構築でき ると理想的か?ステークホルダーのどの ようなPain/Gainを解消し、どのような アウトカムを互いに得るか?言語化する。

- STEP5について

各ステークホルダーのカテゴリごとに、"より重要度の高いステークホルダー"を3者ずつ選定し、ブランドとの理想的な関係性の見立てをさらに深める。

- STEP6について

重要なステークホルダー同士の間で、どのような関係性を構築できればブランドの価値を最大化させながらステークホルダーも理想のアウトカムを得られるか?を言語化する。

次に、上記のSTEPで実際に企業様とリレーションモデルを活用していく過程の中で、発見された現象や効果効能について、一部ご紹介させていただこうと思います。

実践の中で確認できている興味深い効果効能

  • STEP5で、3カテゴリ×3ステークホルダー=9者のステークホルダーに絞り込む過程にて、「このステークホルダーがより重要度が高いのでは?」「いやいや、こちらのステークホルダーの方が今のフェーズにおいては重要度が高いと思う」といった、作成者それぞれが、それぞれの業務範囲の立場だからこそ見えている「重要だと思う理由と背景景色(=Why)」がさまざまである点が散見されます。そしてその「重要だと思う理由と背景景色(=Why)」が分かち合われることにこそ、このフレームワークを通じて生まれる対話の価値があると考えています。作成者それぞれの前提のアップデートや変容が起こる重要な機会です。

  • STEP6で、「ブランドを主体的に作り上げるステークホルダー」である自分たち目線での「理想的な他ステークホルダーとの共創関係」は書けるものの、「その内容が相手方にとっても理想的なのか?」という双方の便益を加味した共創関係の言語化は、実はとても苦労するケースが多いです。これは、相手側の景色取得や合意形成が曖昧なままで活動が行われている状況が存在するから、とも言えるのではないでしょうか。

  • 「今の状況を可視化したリレーションモデル」と、「例えば3年後の理想を可視化したリレーションモデル」では、登場するステークホルダーが異ななるようです。まずは、未来の理想の状態書き出すことから始め、その内容に対する現状を書き出し、GAP構造を可視化することで、具体的な連携施策や戦略ロードマップ上でどこを押さえるべきかを可視化するヒントにもなるのではないでしょうか。

  • STEP4で、「ブランド」と「ブランドを主体的に作り上げていくステークホルダー」の理想の共創関係を言語化する際、「私たちはブランドを運用する経験を通じて何を受け取っているのか?」が意外と言語化できないことがあります。一方でこの領域の言語化は「自分自身がこのブランド/プロジェクトに関わっている意義や意味」を再確認する貴重な機会となり、自身のモチベーションを改めて練り上げることに繋がるのではないかと考えています。

  • リレーションモデルを作成する過程、もしくは作成したものを他者に共有する過程で、組織の中にあるレイヤーや部門といった縦/横の壁を越え、双方が見えているものや捉えている状況/課題の対称性がグッと高まります。双方の背景景色や課題感を知り合うことは、その後の連携や意思決定の速度を早める効果も期待されます。これが事業推進の観点でも非常に重要なのではないでしょうか。

  • 作成過程を経て表出される「理想の共創関係」の言語感は、ブランドの世界観や、企業や組織が持つ価値創造の文化やコミュニケーションの風土、まだ本人の思想や哲学などがダイレクトに影響しているように感じます。リレーションモデルの作成を通じて、自社の特性やチームメンバーの価値観をも確認できる機会になるかもしれません。これはチーミングの観点からも今後観察していきたいと思います。

雑多に記述しましたが、実践の中で得られる発見が都度あり、このような現象と考察については、また別のnoteでまとめていきたいと思います。

ただ、上記のような発見を、少し抽象度を上げて整理してみると、リレーションモデルを取り扱うことを通じて、以下のような効果効能があるのではないか?と仮説を立てています。

そして上記の仮説を言い換えれば、以下のような課題や状況において、リレーションモデルは効果を発揮するのではないか?とも言えそうです。

多様化するステークホルダーとブランドの関係性が複雑化している現代のビジネス環境において、その全体像を十分に捉えながら最適化をはかり続けることの難易度が高まっていると感じています。
特に、ステークホルダー同士の横の関係性や非対称性が置き去りにされがちな点を課題視しています。これにより、ブランド都合で知らぬ間にどんどん意思決定がされていたり、不要な分断やコミュニケーションのズレが生じる結果、本来行いたい価値創造が停滞する(言い換えれば最大化できない)状況が生まれてしまいます。しかし、そのような状態を進んで臨む人はほとんどいないのではないでしょうか?

この課題観は、下記の図にある「適応課題」の領域とも捉えられると考えています。

引用元:https://www.cultibase.jp/articles/mf-management-shift

レーションモデルを通じて、多様なステークホルダーとの適応課題を解きほぐしながら、ブランドとステークホルダーのありたい理想の関係性、そしてブランドの理想的な成長を実現していく、というのが私がリレーションモデルを活用して作り出していきたい状態イメージです。

次回以降の予告

広くさまざまな方にリレーションモデルを使ってみていただきたいと考えています。なので、次回以降も下記のようなテーマで「探究連載」としてnoteを書いていく予定です。(※順不同です)


  • リレーションモデルの開発動機・背景の深掘り/既存フレームとの違い

  • リレーションモデルの基本構造と要素の詳細説明と作成意図

  • 実践により得られたリレーションモデルが解消しうる課題と効果の深堀り

  • リレーションモデルが今後つくりたい展望仮説

  • リレーションモデル 活用テンプレートの配布


最後に、告知があります!

私が所属するMIMIGURIが運営するメディア「CULTIBASE」にて、リレーションモデル活用術をご紹介するオンラインイベントが、2月26日(水)19:00-21:00にて開催されます。
イベント情報ページはこちらです。この機会にぜひご応募くださいませ。よろしくお願いいたします。

https://share.hsforms.com/1rK0DSamKRj2jFYK32GJobQ4jxt0

最後までお読みいただきありがとうございました。
ぜひご感想やご質問をXにコメントいただけると励みになります。一緒にこのテーマについて探究していけると幸いです!

では、次回の#3のnoteでお会いしましょう!ありがとうございました。

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