#1【リレーションモデル】ブランドとステークホルダーの関係を可視化するフレームワーク
はじめまして、株式会社MIMIGURIという経営コンサルティングファーム会社でコンサルタント/ストラテジックプランナーをしている山内です。(プロフィールはこちら)
私は普段MIMIGURIのコンサルティング事業部にて、さまざまなクライアント企業さんの事業開発やブランディング、組織変革のプロジェクトを担当させていただいているのですが、ビジネスロジックだけでは解消が難しい現場の葛藤や、部門/レイヤーを横断することによる衝突や分かり合えなさに直面することがあります…。
そのような状況をクライアント企業さんと一緒に試行錯誤しながら乗り越えていく中で、暗黙的に自分自身の中に貯まっていた論点や解消方法の実践知をMIMIGURIの探究活動を通じてアウトプットしてみました。それが今回のnoteで書いていく『リレーションモデル』というものです。
『リレーションモデル』は、ブランドとステークホルダーの関係性を多面的かつ動的に整理し、共栄(きょうえい)を目指すための実践的なコンパスとなるフレームワークと考えており、現在も実践の中で検証を深めています。
#01となる今回のnoteは、概要的に「リレーションモデルとは一体なんなのか?」を書いてみようと思います。
実は、こういった文章形式での発信に腰が重いタイプ(現にnoteアカウントは数年前から持っていましたが、これが1本目の投稿です…)なのですが、日々さまざまなクライアント企業さんと課題解決をご一緒する中で、リレーションモデルがもたらす効果効能を実感しており、せっかくなので不定期連載という形で発信をしてみることにしました…!
noteを書く動機として、ただ「紹介をしたい」わけではなく、興味を持っていただける方がいるのであれば、「このフレームワークをこれから一緒に探究していきたい!」「探究仲間を探したい!」というのが本音です。なので「なんだか面白そうじゃん!」ともし思っていただけたらnoteのフォローや「いいね!」、またXにコメントをいただけますと励みになります。(腰が軽くなって不定期連載の頻度が上げられるかもしれません…!)
前置きが長くなりましたが、それではここから本編です。
日々の実践で感じている課題感があった…
現代のビジネス環境において、ブランドと各ステークホルダーの関係性が複雑化しており、その全体像を十分に捉えながら最適化をはかり続けることの難易度が高まっていると感じています。特に、ステークホルダー同士の横の関係性や非対称性が置き去りにされがちな点を課題視しています。これにより、協働が阻害され、不要な分断やコミュニケーションのズレが生じる結果、本来行いたい価値創造が停滞してしまいます。
また、ただでさえ忙しいのに、動的に変化していく環境に柔軟に対応する手段やリソースが不足し、関係性の調整やアップデートがカレンダーの隙間を縫うような個別対応になっていき、結果的に非効率な対応が多発している…というケースもあるのではないでしょうか。
表出化している課題の背景に目を凝らしてみると、上記のような課題感が隠れているというのは、決して少なくないように思います。またその状況を指摘することは簡単でも、実態は非常に複雑で、未然に防ぐことも困難な根深いものだと捉えています。
このモデルを作るに至った私自身のテーマとは?
そのような課題感を感じていたからこそ、「ブランドとそれを取り巻くステークホルダーがどのような関係性を構築できれば、ブランドが生み出したいインパクトと、各ステークホルダー同士のベネフィットを最大化できるか?」を探りたいと考えていました。
そして私自身のさらなる背景として、ブランドが単に「顧客に愛される存在」として認識されるだけでなく、関係者全員が主体的に価値創造に参加し、共に便益を享受し合い続ける「共栄(きょうえい)状態」を目指したい、諦めたくない、という想いが常にあります。
立場や目的の異なるステークホルダー同士の多様性や非対称性を受け入れ、ズレを検出しながら「ブランドとステークホルダーの間にある理想的な関係性」と「ステークホルダー同士の間にある理想的な関係性」を可視化し続けるフレームワークは作れないだろうか?
もしそれが可視化できたとして、それを立場の異なるステークホルダーたちが共同で扱える道具にできるとしたら、それはどのような形になるだろうか?
さらに道具化できたとして、そこにどのような営みが新たに立ち上がってくるのだろうか…?
それがリレーションモデルを作成するに至った私自身のテーマでした。
改めてリレーションモデルとは何をするものか?
リレーションモデルは、ブランドとそれを取り巻く各ステークホルダーがどのような関係性を構築できれば、ブランドが生み出したいインパクトと、各ステークホルダーの便益を最大化できるか?を整理することが目的のフレームワークです。
これは次回以降のnoteで詳しく書けたらと思いますが、私が重要視したかったポイントの1つは、「中心に据えられたブランドと各ステークホルダーとの理想の関係性」を探索するだけでなく、「ブランドを取り巻くステークホルダー同士の理想の関係性」も探索しながら、全体像を整理することです。
そして重要視したかったポイントのもう1つは、3つのステークホルダーカテゴリごとに、今(もしくはこれから)"より重要度の高いステークホルダー"を3者に絞り込むことです。つまりブランドを取り巻く"より重要度の高い9者のステークホルダー"が可視化されます。
もちろん重要なステークホルダーは常に9者以上に存在することは前提としながらも、あえて絞り込むプロセスを行うことによって、各ステークホルダーがブランドにとって/他のステークホルダーにとってどのように重要なのか?が言語化されていくことを想定しています。
今回はあくまで概要的な内容にとどめますので、上記内容やその他のポイントについては別のnoteで改めて詳しく説明させていただきます。
どのような効果効能を見込めるのだろうか?
リレーションモデルがもたらしうる効果として、まずステークホルダー間のズレや課題の可視化が挙げられると考えています。そしてこれにより、協働の効率化や関係性の深まりが期待できるのではないか、と実践を通じて感じているのが現在のステータスです。
また、言語化された理想の関係性を各ステークホルダー同士が共有することで、活動の優先順位や判断基準が明確化され、効率的な意思決定が行いやすくなっていくことを見立ています。
このフレームワークは、理想的な関係性を描き、それを基に各ステークホルダーと具体的なコミュニケーション戦略を立てるための「共栄のコンパス」になりうるのではないか、と期待しています。
また、一度作成したら終わりではなく、動的な更新を繰り返し、変化に応じて理想像をアップデートさせるルーティンを業務構造に組み込むことで、持続的な価値創造を支援したいと考えています。
願い
リレーションモデルを開発した背景には、「誰かのために生まれたブランドが、その本質的な価値を持続的に発揮し、関わる全ての人々が自己実現できる状態をつくりたい」という個人的かつ漠然とした願いがあります。
ブランドやステークホルダー、そしてその先にいる生活者が互いに影響し合い、価値を共有し合う状態が「共栄する」ことだと考えたいのです。特に、孤独や分断を超えて、関係者全員が互いを支え合い、報われる形で価値創造が続くことを諦めたくありません。
リレーションモデルが単なるフレームワークにとどまらず、共に挑戦し成長するための「日常的な道具」として、多様なステークホルダーが輪になって新しい未来を踊るように創り出す基盤になっていくことを願って、引き続き探究を継続していきます。
冒頭の繰り返しとなりますが、このnoteでは、「リレーションモデルをただ紹介したい」わけではなく、興味を持っていただける方がいるのであれば、「このフレームワークをこれから一緒に探究していきたい!」「探究仲間を探したい!」と思っています。まだまだ未完成なフレームワークだからこそ、「なんだか面白そうじゃん!」ともし思っていただけたらXにコメントをいただけると嬉しいです。
次回以降の予告
広くさまざまな方にリレーションモデルを使ってみていただきたいと考えています。なので、次回以降も下記のようなテーマで「探究連載」としてnoteを書いていく予定です。(※順不同です)
リレーションモデルの基本構造と要素について
リレーションモデルの活用方法/利用ステップ
リレーションモデルの開発動機・背景の深掘り/既存フレームとの違い
実践により得られたリレーションモデルが解消しうる課題と効果の深堀り
効果を発揮する具体的なシーン/ケーススタディ
リレーションモデルが今後つくりたい展望仮説
最後までお読みいただきありがとうございました。
ちなみに2本目は比較的すぐにアップする予定です。
次回のnoteでお会いしましょう!ではまた!