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詩作Ⅹ「通話」

電話をかけたいときは

かけるといい

たとえ

つながっても

つながらなくても

柱時計 針に瞳を映す

午前零時

ベルは鳴らない

ランプの紐を引く

通話音は とぎれとぎれ

明かりを灯す

留守番電話

あのね、

──お掛けになった番号は、 

現在、使われておりません。 

発信音のあとに 

古時計の針が進んでゆく

夜のしじま

カーテンが揺れる

メッセージが流れている。  


【詩作のあとがき】

10番目の詩になりました。2025年の詩の書き初めです。

以前、noteに上げた詩を友人に見せると、

「これは詩じゃなくて、小説だよ」

と言っていました。

友人が詩を書けるひとであることを僕は知っているので、

そうなんだね、と答えました。

詩と小説の境目はどこにあるのだろう? と思いました。

「小説のなかに詩の感覚を持ち込む人がいるなら、

詩のなかに小説の感覚を持ち込んでもよいのでは?」

今回は、ちょっと「物語」を意識した詩にしています。

僕の感覚では、詩は停まっていて、小説は動いている感じがします。

詩は、一枚ものの絵を描いていて、小説は、左から右へと流れていく巻物に描き込んでいく続きものの絵。

いや、右から左だっていいし、順番もばらばらで、もしかしたら詩も動いていて、僕が知らないだけかもしれません。

最近、十番目の小説も書いたので、よかったら読んでいってください。

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kazumawords.
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