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50代教員は担任をもつべきか

あなたは50代で担任をもてますか?

近年、学校現場では50代以上のベテラン教員が担任業務を敬遠する傾向が見られます。
退職までの10年間(55〜65歳)の働き方については、学校運営や教育の質に直結する重要な問題です。


1. 50代教員の担任業務に対する現状認識

若手教員の間では「50代の教員が担任を持つことが教育の活力維持につながるのではないか?」という考えが浮上しています。もし、役職定年後の教員がダレたり、モチベーションが低下すれば、学校全体の活気が失われ、教育の質が下がる恐れがあります。したがって、50代教員に担任業務を任せることで、仕事にやりがいを感じてもらい、学校全体の雰囲気を前向きにする仕組みが必要だと考える若手も少なくありません。

しかし、これは「50代の教員に負担を強いることになるのではないか?」という懸念や、「やる気がない人に担任をさせても逆効果なのでは?」といった批判的な見方もあります。本稿では、50代の教員が担任を持つべきかどうか、そのメリット・デメリット、そしてモチベーションを維持するための仕組みについて考察します。


2. 50代の教員が担任を持つべき理由

(1) 経験と指導力の活用
50代の教員は、長年の指導経験を持ち、クラス運営や生徒指導において高いスキルを備えています。特に、生徒や保護者との関係構築において、豊富な経験から柔軟かつ効果的な対応ができるため、担任としての役割を十分に果たせる可能性があります。

(2) 若手教員への負担軽減
現在、多くの学校では若手教員が担任を担うケースが多く、授業準備や学級運営に加え、部活動指導や保護者対応など、多忙を極めています。50代教員が担任業務を分担することで、若手の負担を軽減し、教育全体のバランスを取ることができます。

(3) 学校全体の安定感
経験豊富な教員が担任を持つことで、学校全体の安定感が増します。特に、問題が発生した際の対応力や、学級崩壊の予防策としての役割は大きいです。また、ベテラン教員の存在が、若手教員にとっての相談役となり、職場全体の雰囲気を支える要素にもなります。

(4) 仕事のやりがいとモチベーション維持
50代教員が担任を持つことで、単調な業務に陥らず、やりがいや使命感を維持しやすくなります。特に、役職定年を迎えた後、ただの授業担当だけではなく、生徒と深く関わる機会を持つことで、仕事に対する充実感を得ることができるかもしれません。


3. 50代の教員が担任を持つ際の課題

(1) 体力・精神的負担の増加
担任業務は、生徒対応、保護者対応、行事運営など、想像以上に負担が大きい仕事です。50代になると、体力的な衰えが出てくるため、若手と同じペースで業務をこなすことが難しいケースもあります。

(2) 教育環境の変化への適応
教育現場は、ICTの導入や指導法の変化など、急速に進化しています。ベテラン教員の中には、新しい技術や教育手法に対して抵抗感を持つ人もおり、これが生徒や他の教員とのズレを生む可能性があります。

(3) やる気のない教員に担任を持たせるリスク
「モチベーションが低下している50代の教員に担任を任せても逆効果なのでは?」という意見もあります。担任業務は、情熱を持って取り組まなければ、クラスの雰囲気に悪影響を及ぼしかねません。そのため、「すべての50代教員が担任を持つべき」とするのではなく、「適性がある教員を選ぶ」仕組みが必要です。


4. 50代教員のモチベーションを維持する仕組み

(1) 役職定年後のキャリアパスを明確にする
50代以降の教員にとって、「担任を持つことがキャリアの一環である」と感じられる仕組みを作ることが重要です。例えば、「担任業務をこなした50代教員には特別手当を支給する」「学級経営の経験を積んだ50代教員をリーダーとして育成する」など、明確な評価制度を設けることで、モチベーション向上につなげることができます。

(2) チーム担任制の導入
担任業務の負担を軽減するために、1クラスを複数の教員で担当する「チーム担任制」を導入することも一案です。これにより、50代教員が負担を感じずに生徒と関わることができ、若手との協力体制も生まれやすくなります。

(3) 担任業務の負担軽減措置
50代教員に担任業務を任せる場合、負担を適切に調整することが必要です。例えば、「授業コマ数を減らす」「保護者対応を分担する」などの工夫をすることで、持続可能な形で担任業務を行うことができます。


5. 結論

50代教員が担任を持つことには、メリットと課題の両方が存在します。経験を活かし、学校全体の安定感を高める一方で、負担の大きさや教育環境の変化への適応が求められます。そのため、「一律に担任を持たせる」のではなく、適性を考慮しつつ、モチベーションを維持できる仕組みを整えることが重要です。

若手教員の間では、「50代教員が担任を持つことで、仕事にやりがいを感じ、学校全体の活気を維持できるのではないか?」という考えもあります。しかし、それは「押しつけ」ではなく、50代教員が自発的に関われるような環境づくりが必要でしょう。

結局のところ、50代教員の担任業務は、「適切な役割の設定」「負担の分散」「評価制度の確立」という3つのポイントを意識しながら、持続可能な形で運営されるべきなのです。

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