スイス、イタリア、ベルギーの大学院3つ+EUの3カ国周遊プログラムに受かりました
(2021/5月時点)
コロナ禍。緊急事態宣言。
こんな状況ではあるのですが、この3~5月の間で、
1:🇨🇭スイスのルガーノ大学
2:🇮🇹イタリアのパドヴァ大学
3:🇧🇪ベルギーのルーヴェン・カトリック大学
4:🇪🇺EUによるエラスムス・ムンドゥスの(3カ国を巡る)プログラム
4つの院(修士号)のプログラムに合格しました。
これまで、結果を周りの人にあまり積極的に伝えてきませんでした。
というのも、未だにどうすべきかを悩んでいたし、コロナ禍が想定より長引いて先行きが見通せない中、自分自身も当惑していて。「はっきりとした未来が見えない」のが、今の状況でした。
...けれど。長年ずっと抱き続けてきた、ひとつの思いを形にできたこと。大学二年生の当時、「オックスフォード大学を見に行きたい」と思って、単独で初めて欧州に足を踏み入れてから4年間。残念ながら、本来憧れていたところからはズレてしまったけれど、ひとまず辿り着くまではできたこと。その過程と結果...なぜそんなに自分が欧州圏の院にこだわってきたのかも含めて、形として残すべきなんじゃないかと感じ始め。大ざっぱに過去を振り返りつつ、今の現状を書くことにしました。
4年前の「オックスフォード大学を見に行きたい」
自分が欧州の院を意識し出したのは、大学二年生くらいの頃でした。
オックスフォードの大学院で修士をやっていた方と、なぜか話す機会が多くあり。
・日本の大学における経済学の講義で「それが幸せにどう繋がるんですか」と指摘したら教授に激怒され、文化人類学に没頭した人。
・行政機関の官僚として、またあるときはNPO法人の代表として。官民を超え、日本の産業を後押しするべくリーダーシップを発揮し、現代日本学に打ち込んだ人。
・(自分の)卒論のセミナーを担当してくださり、EU研究・政治学を教える傍らで「人の移動」にまつわる移民学を追究した人。
いずれの方にも共通していたように感じること。それは、本質を追い求めることに妥協せず、自分なりの価値観を貫き通した方たちだったな、と。オックスフォードの特徴として、徹底的なチュートリアル制度(「知」の師弟制度)があります。博覧強記である教授との対話を1対1で根深く行う。「自分が本当に理解しているのか」を延々と試し続ける、「知」に最も鋭敏となる環境。
そこからずっと気になっていて、大学2年生の頃に旅をしました。たまたま、同じ大学の先輩がそこで修士をやっていたため、学食を取りつつお話でき。院生ブログをやっていた方ともコンタクトを取ったら(突然の連絡にも関わらず!)直接会ってくださったり。偶然にも、オックスフォード日本人会がその日パブで開催され、オーケストラ団を率いる奏者でありながら憲法学を学ぶ方、とても人懐っこくて数学を学ぶ方など、非常に刺激を受けました。自分のような何もない一大学生に対しても、フランクで対等に接してくださったのが、すごく心に残り。
そんな人たちの姿を見て、「自分なりの視野を培い、ある課題に向き合おうとする姿勢」に、強い憧れを抱くことに。オックスフォードへの旅から日本へ帰り、欧州の大学へすぐ行こうとして、焦ってオランダのアムステルダム大学・言語学部に編入したりもしました。入学はできたものの、結局そちらは問題が多発しすぐ辞めてしまい、日本の大学に戻ったり...(その過程で卒業に2年間の遅れが生じつつ、また別の話に)。そんな失敗を繰り返すも、欧州圏の院への憧れは残り。それが今回、申請するに至りました。
受かったところ
院を調べるためにメインで使ったのは、Studyportalsというサイト。世界中の院(に限らず学部も)の情報が集っていて、専攻分野/言語/国(大陸)/授業料、などとリサーチをかけていきました。自分が特に興味あったのは、メディア・コミュニケーション分野。4つのプログラムに申し込み、何とかすべて受かることができました。
①:🇨🇭Master of Science in Media Management -Università della Svizzera italiana (=University of Lugano) / メディア・マネジメントの修士号: スイス・ルガーノ大学
ティチーノ州という、スイスで唯一イタリア語圏における公立大学。1995年に創立され、自分(1996年生まれ)とほぼ同い歳...ということで親近感を覚えつつ。新興の小規模な大学として、近年世界大学ランキングでも入ってきています(2020年で初登場し301位➡️2021年で251位)。さらに注目した点としては、
・少人数のクラス設計➡️教授:学生の比率 = 1:8
・圧倒的な国際性➡️100カ国を超える国から3,000人近くの学生が集う(全体の65%近くが留学生/外国人)
・第三言語を伸ばせる環境 ➡️ イタリア語の授業をフリーで受けられる+公用語にさらにドイツ語・フランス語・ロマンシュ語がある国柄
・奨学金制度 ➡️4,000スイス・フラン (=50万円分の授業料免除扱い)を申請できて獲得済
・日本語での情報があまりない➡️ 新しくてまだ開拓されていない分、おもしろい
かつ「メディア」を、社会科学(歴史・法律・ジャーナリズム)とビジネス(マーケティング・PR・UX)の双方面で追究できそうなプログラムも、魅力的でした。自分はリベラルアーツ学部のもとで、まさに社会科学とビジネスの双方をやってきていたため、理論と実践の両面を兼ね合わせる内容に興味を抱いていました。インターンの機会もあって、ツイッターやウォルトディズニー、IKEAやイタリア外務省との提携があり、実践できる場の選択肢が豊富そうな点も気に入りました。
また、ルガーノという町に(写真や動画で見ただけですが)、とても惹かれている面もありました。湖が非常にきれいなところで、人口6万人弱と非常に小規模で、都会的な娯楽をそんなに求めない自分にとっても、いい環境なのではないかと思いました。
今もっとも気になっているところなのですが、問題が生活費...。スイスという国柄もあり、東京で暮らす約1.5倍はかかるという試算も。授業料は他の国と比べてめちゃくちゃに高いわけではないのですが、それでも経済面での負担が大きくなりそうで、思い悩んでいました。
②:🇮🇹 Master of Arts in Communication Strategies - University of Padua / コミュニケーション戦略の修士号: イタリア・パドヴァ大学
「イタリアに行きたい」という思いが長年強く、国内中のプログラムを探して見つけました。創立が1222年に遡り、800年もの歴史を抱く由緒ある大学(イタリアで2番目に古い/最古は1088年のボローニャ大学)。ガリレオやダンテ、ペトラルカ等の歴史的著名人が教鞭をとっていたところでもあります。
目をつけていた理由としては、1.) 授業料が安い (授業料が2,529ユーロ=30~35万円/年)、2.) 世界大学ランキングにも載っている(251-300位)、3.) 歴史の重みがある(800年間)、4.) テクノロジー・社会学・ビジネスという複数面から「コミュニケーション」について深められる、といった点でした。
メディア・コミュニケーション学関連+英語で開講のプログラムは、イタリア国内ではミラノ工科大学やIULM大学を除いて、あまりなく。唯一、授業料も生活費も抑えながら、歴史もあってしっかりと学べそうなところがここでした。経済的な面を考えると、行きやすい場だなと感じています。
③:🇧🇪 Master of Communication Sciences: Digital Media and Society - KU Leuven / デジタルメディアと社会 (コミュニケーション科学の修士号): ベルギー・ルーヴェンカトリック大学
今回受かった欧州圏の大学の中でも、特に学術的な水準が高いところがここでした。2021年度の世界大学ランキングで45位。近いのはオーストラリア国立大学、ソウル国立大学、ブラウン大学、ボストン大学、京都大学など。その割に、授業料は3900ユーロ=50万円ほど。一年間のプログラムかつ、生活費もそこそこ抑えられる。また、ルーヴェンは首都のブリュッセルから電車やバスで30分~1時間ほどの距離。かつ150カ国から人が集う、国際性ある学術都市。
詳しくは、白川寧々さんという方の、海外大進学を紹介するyoutubeチャンネルで知りました。個人的にとても参考になったため、欧州圏での大学進学(学部でも院でも)を目指す人にとっては、おすすめです。
コスパ+生活の快適さ+学術的な水準等を合わせると、ここが最もいいなと思いました。ただ、プログラム期間が一年間(実質は9ヶ月ほど?)と考えると、短いなとも。また自分の場合、イタリア語圏への憧れが特に強かったため、ベルギーでの文化に浸る+第三言語を身につける、そこまで強いモチベーションがなく。プログラム内容がリサーチ(研究)に偏る印象も受け、前者二つと比べると、それらの点が気になりもしていました。ただ、とても魅力的な大学 & 都市であるため、もう少し見ておきたいとも思っています。
④:🇪🇺 The Erasmus Mundus Master of Science in Public Sector Innovation and eGovernance (🇧🇪🇩🇪🇪🇪PIONEER) / エラスムス・ムンドゥスの修士号: 公共部門におけるイノベーションと電子政府
一言で言うと、2年間で3カ国(ベルギー・ドイツ・エストニア)の大学を廻るプログラムです。ルーヴェン・カトリック大学(🇧🇪), ミュンスター大学(🇩🇪)、タリン工科大学(🇪🇪)の3大学で1~2学期ずつ、それぞれ異なるアプローチから、公共部門におけるデジタル化を中心に学んでいきます。
タイトルにある Erasmus Mundus (エラスムス・ムンドゥス)とは、EU圏における高等教育機関が提携したもので、EU域内外の学生の交流を推し進めるもの。Erasmus Mundus Joint Master's Degree (=EMJMD)として、文理を問わず100を超える豊富なプログラムがあります。日本人でも受けられ、奨学金制度もあるため、海外の院進を考える人にとっては、とてもおすすめな選択肢です。
唯一、分野がメディアじゃない! のに申し込んだ理由としては...学部につながることでした。
社会科学を中心に学び、ハーバーマスの公共圏や、アーレントの公共哲学にはまりつつ。「どうしたら公的な関心を、異なる他者同士に芽生えさせられるのか」というテーマに興味を抱き続けてきました。その結果、ひとつの手段として「デジタル化」に可能性を感じ。台湾におけるオードリータンの著書を読んだり、内閣府の国際交流事業に参加してエストニアの電子政府について学ぶ機会があったりと。「今日本に必要なこと」として実感し、自分なりのことばで語れると感じ始め。
実践的なプログラミング等の経験もほとんどない身でしたが、勢いで応募したら、ひとまず合格に。...ただ、本当に今の自分のスキルや目指すものとマッチしているか? 受かってから悩むところがあって、今は少し保留させつつあります。
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これからの進路
今回申請したプログラムから合格認定をもらったことで、ひとつの自信になりました。ただ同時に、どこか現実味を感じづらくも。コロナが蔓延的に続いて、ずっと国内に閉じこもってきた中で、突然長期的に海外へ出るということ。実際、どこにするかも含めて、いまだ心が揺れ動きつづいています。
...けれど、この4~5年間を占めていたのは、この気持ちでもありました。特に、自身は学部時代に3度の留学を満足に完遂できなかった経験があり、その「果たせなかった」ことを、取り返したいという執着もあった。最終的にどうするか。思い悩む日々は続きますが、この5月中には確定させていきたいなと思っています。
次回は、欧州の院へこだわり続けた理由など。
少しずつ、まとめて公開していきたいなと考えています。
Photos
1 : Università della Svizzera Italiana. Images and logotype. Retrieved from https://www.usi.ch/en/university/who-we-are/images-and-logo
2 : Lugano Region. Retrieved from https://www.luganoregion.com/en
3 : University of Padua. Welcome to Padua. Retrieved from https://www.unipd.it/en/welcome-padua
4 : KU Leuven. Media Resources. Retrieved from https://persdienst.kuleuven.be/media
5 : Pioneer. Retrieved from https://pioneer-master.eu/