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基本情報
小川麻衣子さん執筆の、少年SFマンガ
小学館「ゲッサン」にて2012年4月号から、2018年10月号まで連載
全78話、全15巻で完結済み
大まかな紹介
人口70万に満たない、そこそこ栄えた地方のそこそこな中心都市・松横市。
この春、高校に入学する広瀬岬一は、入退院を繰り返す双子の兄・凪とは正反対の健康優良児
入学式当日、岬一の前に現れた“ひどい変わり者”の2年生・大鳥希。
「命をもらいに来た」と岬一に迫るが、岬一の身体は負った傷をたちどころに治してしまう。
驚く彼に、彼女は態度を一転させて告げる。
「一緒にこの地球を侵略しましょう」と――
導入
幼い主人公は、冬の日「UFOの群れ」を観ていた
が、目の前が真っ白になってこの記憶は途切れた
主人公の少年、広瀬岬一は高校1年生、本日が入学式
通学路にて、不思議なお面をかぶった女生徒が前に立ちはだかる
「お前の命を、もらいに来た」
逃げるが、めちゃくちゃ足速えので追いつかれる
背中をつかんで軽々と投げ飛ばされる
「さあ、その心臓をいただくぞ!…なにこれ…君は人のものになんてことをしてくれるんだ」
友達が心配で見に来るが、女生徒に馬乗りになられている岬一を見つける
「とりあえずその命預けておく、またね。」
先生に何者なのか聞いてみる
「あれはおそらく2年の大鳥だ。酷い変わり者なんだ。」
今度は自分から大鳥を探す岬一、屋上にて見つける
「あんたが触ってから様子が変だ、何しやがった。胸に在った小さい頃の傷跡がなくなってたんだ。」
大鳥は言う
ウソはよくないな、10年前宇宙船団がこの町に押し寄せる事件があった。
その旨の傷はその時負ったものだよ。君はあの騒動の中で死にかけたんだ。
心臓がえぐれたからね、私が別の心臓を入れて助けてあげたんだ
「ウソをついてるのはあんたの方だ」と岬一
大鳥は面をとり「おぼえてないですか。」
君、その心臓と同化したね
「ちょっと見せてよ」と詰め寄る大鳥
ねぇ、私の仲間になってよ!
一体何をする気だ?
このほしを征服するのよ!
死ね!付き合ってられない俺は帰る!
家に帰ってじいちゃんにあいさつする岬一
自分の生家は喫茶店であり、じいちゃんお跡を継いで焙煎職人になりたい岬一
じいちゃんに習い、焙煎するがやけどする
が、数秒で完治する
じいちゃんを観に行くと、巨大なヤカンみたいな化け物にじいちゃんが襲われており、飲み込まれるとこだった
そこに大鳥が現れる「情けない顔」
「じいちゃんを助けて」と岬一
「やだ」と大鳥「助けるのは岬一でおじいさんは知らない人だもの」
「私は慈善事業でこの星に居るんじゃない、侵略をしに来てるんだから、他の星の侵略者から住民を守るギリはないの」
ダンスのステップのように宇宙人の猛攻を躱す二人
「一緒にこの星を征服しましょう!私の仲間になってちょうだい。そしたら町のみんなも守ってあげる。」
たのしそうに笑う大鳥
「最悪だ。本当にムカつく」と内心思う岬一
「わかった。仲間になる」
化け物を地面に叩きつけ、首らしきパーツを引きちぎる大鳥
大鳥希(おおとりのぞみ)、青霜(せいしょう)高校2年6組。正体は『港』の管理者で、この星を征服するために送り込まれた侵略宇宙人。
そして宇宙でただ一人のあなたの味方。よろしくね!
感想
この作品も「ジャケ買い」っぽく、絵の感じから「読んでみよう」と思って、ノン情報から読み始めた
なんとなく、既視感があって安心するような、それでいて新しいような、そんな雰囲気で引力を感じた
「ノン情報」スタートも相まって、この作品も「ストーリーの輪郭」をつかむのに、だいぶ掛かった
最初「解ってる情報が少ない」「謎が多い」「ヒロインはご都合な超常の力がある」「その割には日常を暮らしてる」ということから、「謎をあんまり解かない、ストーリーがあまり動かない、ラブコメ的な日常モノをやるのかな?」と想像した
なんというか…「”地球侵略”というテイの少しSF要素を入れたボーイ ミーツ ガール ミーツ エイリアン」みたいなのをやるんかなと
そのうち、宇宙人と戦う使命を帯びて「SF&バトルもの」に徐々になっていく
意思疎通取れる「後にペット化する宇宙人」が出てきたところで「宇宙刑事ギャバンみたいな世界観で行くのかな?」と想像した
”地球侵略”という大義名分は「業界のために特許を取る任天堂」みたいに「エイリアンに地球を支配されないために地球侵略する!」みたいなことにするのかなーと
そして、敵も味方も「敵か味方かわからないモノ」も、謎に絡んでくる大所帯な物語に
兄貴とロシア美少女が出てきた時点で学園ものと地球防衛モノをターン制でやる感じのかなーと輪郭を必死で追ってた
ただ、兄貴の扱いは「早すぎない?」っていう「キルヒアイス感」を若干感じた
最終的に、ガッツリ「SF&ファンタジーモノ」「超常バトルモノ」になったのは、The少年マンガになったなってなった
”地球侵略”も大義名分でなく、意味のある言葉になり、戦う意味も相手も、タイトルに釣り合う規模になった
とはいえ「世界をかけて戦うわりには、登場人物は自分の身の回りだけ」という、一昔前の言い方でいうところの「セカイ系」である感じは崩さないけれど
ヒロインが「どんな存在なのか」は、自分は最後までつかみきれなかったし、作者もなんか迷ってたのではないか、と邪推
最序盤の「超越者の立ち居振る舞い」「飄々とした態度」「ただガワが少女なだけ」という感じ
こういった「ミステリアスで得体の知れない美少女に翻弄される」という展開は、よく在るし王道だと思う
ハルヒの長門とか
でも、序盤に第一段階の正体の明かしと、味方確定時点で、急に幼児化とも言うべき「乙女の思春期」みたいになる
まー「なんやかんやあって一定時間以前の記憶がない」という設定上、一応合理性があるのだけれど
そも、読者としては「人間の女子と同じ身体構造か」も怪しいのに、急に思春期の不安定さと恋心みせられても
超越者マインドどこいってん!みたいな
身体的にも、完全無欠の超越者なのか制約が多い弱者なのか、ファンタジーボディーなのか人間級なのか
NARUTOの写輪眼程度のEasyさで「心臓を行き来させられる」のは、どうやってんだよと
そのくせ、常人よりは致死ダメージレンジが広いわりには、冬眠と表現するような長い活動不能時間があったり
ご都合なんだか人より不便なんだか、という
ま「別の生物」の演出だと考えると、自然だし納得だけど
最終的には「揺るぎない主人公ラブとブレない意思」の前向きヒロインに
成長っちゃあ成長だけど、超越者→乙女→ブレない頑固者…という軌道は成長なんかどうなのかw
その観点で行くと、主人公もなんとなく読めない感じも
クールのような熱血のような頑固のようなインキャなようなヤレヤレ…のような
葛藤があった、というのならなんとなくハラオチするけど
でも、本質的かつ最終的には「愛に生きる熱い男」な感じに行動原理が収束されていった
予感として「ハッピーエンドにしてくれるだろうな」という信頼があった
途中、悲劇やグロや残酷な展開はあれども「色々失うかもだが最後は大団円だろう」という、作者への謎の信頼が芽生えながら読んでた
ここらへんは、うまく言語化出来ないが、読んできた傾向と、自分の願いにもにた読後ならぬ読中感だった
この「読者側の感じ方」から、わりと「作者もライブ感で自由にストーリー展開を考えて行ったのかな?と想像した
なんとなくだけど、新章になって唐突に「地球さん」とか出したとこに、そんなノリを感じた
が、本当のところは「作者の当時の見解」を聞いてないので、最初からプロットガチガチやった可能性もあるけれど
絵のタッチやその画力、序盤のストーリーの雰囲気から「自分が知らないだけで、古典の名作かつ巨匠作家さんなのでは?」と直感的に思った
連載4作くらいと、コミカライズ一つの、自分よりお若い作家さんだった
商業初作で「とある飛空士」シリーズのコミカライズ任されてるのは流石だと思う
勘違いではあったが「そう思わせる」のは、風格と呼べるものだろうし、今後の作品にも期待できそう
総評
超美麗作画で送る、若干SF若干ファンタジーのボーイミーツガール少年漫画…のエキスを最近切らしている人にお薦め
絶妙に読めそうで読めなさそうなストーリー展開なので、ストーリー予想考察勢もチャレンジしてほしい
最後までお読みくださり、ありがとうございます!
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