058_20240801_アオのハコ
基本情報
三浦糀(みうらこうじ)先生執筆の、学園恋愛スポーツマンガ
集英社社「週間少年ジャンプ」で2021年19号(4月)から連載中
2020年35号に読み切りとして掲載後の連載
既刊15巻で続刊中
メディア展開
2024年10月から、TBS系列でアニメ化予定
大まかな紹介
中高一貫スポーツ強豪校、栄明学園。
男子バドミントン部・猪股大喜は、朝練の体育館で毎朝二人になる、
一つ上の女バスの先輩・鹿野千夏に恋をする。
そんなある日、進級を迎える春に二人の距離が一変しーー
青さが胸を衝く、青春部活ラブストーリー、開幕!!
集英社「アオのハコ」公式ページのストーリー&キャラクターより
導入
冬の日、早朝、高校の体育館に少年が居る
「俺には、毎朝一番に、会いたい人が居る」
少年は、バトミントン部で、現在中3の猪俣大喜
そして、会いたい人は、バスケット部高1の鹿野千夏
中高一貫なので、こういう絡みもある
ボールをぶつけられたが、キットカットをもらって「コレ上げるから許してね」
そんな千夏先輩のことが、俺は大好きだ
結婚できたらなぁ
そんなことを言う大喜に、部活仲間の笠原は言う
無理だろ、相手はスター、お前は一回戦敗退、レベルが違いすぎるだろ
挑戦しないとわかんないじゃん
それを観てからかうのが、新体操部中3の蝶野雛
恋話は大好物!と
放課後、体育館の鍵が開いてないのか、千夏先輩が前で本を読んでる
くしゃみする千夏に、大喜は気遣う
マフラーをかけ、お茶を出し、手袋とホッカイロを差し出す
「風惹かないようにね、猪俣くん」
「なんで名前を…?」
服のタグにひらがなで名前を書いてるのを「いいお母さんだね」
部活おわり、帰りに体育館を見に行くと、千夏がずっとシュート練習をしている
大喜をみつけ「1on1しよ!」
千夏が言う「練習熱心なんだ」
大喜は「先輩に言われても…だって中学引退の翌日も練習してたじゃないですか」
泣きながらシュートしていたのを思い出して大喜は「よっぽどくやしかったんだろうな、それくらい頑張ったんだろうなと思うと、俺もがんばれたらって」
千夏はハッとして「ありがとう」と笑顔になる
次の日、大喜は母から「千夏は親の転勤で海外に行く」と聞かされる
居てもたってもいられず、体育館に向かい、千夏を見つける大樹
「インターハイ行って下さい!俺は先輩に教わったんです、努力の大切さや、負けても前を向き続けることを。だから、諦めないで!」
「ごめん、行かないんだ海外、ありがとう、いのまただいきくん」
次の日、大喜が朝起きると台所に千夏先輩がいる
混乱する大喜に母親は「春から、うちに住むことになったから」
お混乱する大喜に千夏は「よろしくね」と笑顔
ここで一話終了。
感想
主人公が少女でなく少年な「少女漫画」をやってる、という印象
恋愛メインの日常、だけれど「人生の大半が部活」なので、それを舞台に描く、という感じの
とはいえ、スポーツの技術論的な高解像度では描かない…ので、古典的な少年スポーツ漫画ではないことは解る
「必殺のこの技術で…」みたいなのではなく「速くなってる」「スタミナがついてる」レベルの描写
ジャンプでもこういうのやるようになったんだなー、という感慨
リアタイで本誌読んでないので、過去のジャンプ少年だった記憶からの感想
ひっつくのがゴールの恋愛ものやラブコメはジャンプでも数々あったけど
ラブやコメがメインとなり、それ自体には大義や目標に向けて根性と努力…というものでも無かったし
スポーツものだと、今度はスポーツが中心で、恋愛は副賞としてついてくる…的な展開が多いし
「恋も仕事(この作品では部活・スポーツ)もがんばって、相互作用で成長」な日常かつ人生かつ青春みたいなんは、ジャンプではあまり記憶にない
設定はわりと既存にありがちなやつっちゃあそう
ボーイミーツガールした二人がひょんなことから同居になって…的な
古くは「ストップひばりくん」だったり、少女漫画だと「ママレードボーイ」とかも
ただ、時代だったり、一途な思いやりだったりで、波風たてぬよう禁欲的である
過去、人類はいくつも失敗して関係を悪くした…という歴史が積み上がったからだろうか
「ラッキーを期待する」どころか、「相手に嫌な思いをさせまい」として、めちゃくちゃ関係を律して暮らす
なんなら、呼び方すら他人行儀に固定したり
それが、後々ラブコメ的な美味しい要素になったりする…ためだとしたらあまりにカタルシスのために引っ張り過ぎである
徹底して「ヒロインの内面や心理を描かない」ことにより、ヒロインはミステリアスで、主人公は献身的に頑張る…みたいな建付け
少女漫画とかでは、2パターンあって
全員の心理描写をして、読者は答え合わせができてて知ってる
主人公(少女)側の心理描写はするが、相手側は描かず、ずっとチャレンジャー
今作は、2個めのパターン
ちょこちょこ「本当は…」的な思わせぶりは描くけど、ヒロインの内面はずっとマンガ的に描かない
負けヒロインとかは描く
もうごめんなさい!珍しく力いっぱいネタバレをしますよっと
12巻で告白成功させて付き合います
そこが最高にキュンキュンするんですけれども!
そこからは「付き合ってるけど、家族にはバレてない」という、ハラハラドキドキラブコメに変化
さらに、付き合ってから「あの時どう思ってたの?」答え合わせニヤニヤとか
これは現実世界でもあるけれど
マンガのドラマのポイントの増やしとしては素晴らしいと思う
今現在が、作品世界中「中盤」なのか「終盤」なのかによって、作品のテイストが大きく変わりそう…に思う
まだ主人公2年生、ヒロイン3年生
スポーツの目標的にも、まだまだ片付いてない状態
少女漫画的文脈的に考えれば、「告白」「セックス」「結婚」場合によって「出産(”そして数年後…”的なの)」がテンプレ的ゴールだし…
どこをゴールにしてたたむのかが、自分が気になっているとこ
卒業でもいいし、スポーツで目標を達成した時でもいいし、恋愛イベント的でもありえる
さらに言えば、今終わっても別にかまわない…くらいには少年の願いは成就している
「恋愛が人生の糧になる」のような、人生的なことを描いているのも、少年漫画にしては希少な方かと
少女漫画のほうじゃ、そんな「恋愛は人生に自然にあるもの」「恋愛が強くする」みたいな肯定感で進むものも多数だけど
少年漫画じゃ、どーも「うつつを抜かすもの」「(目標に)ゴールして褒美としてくっつくもの」という概念が多い
そういう意味でも、新しい感じがする…けれど、これは自分の「ジャンプ漫画離れ」で知らないだけかもしれない
と、色々新規性とか論じてきましたが…
どことってもキラキラだし、キュンキュンですよ
総評
「男子目線の少女漫画」が読みたい人にお勧め
禁欲的にまで一途で「俺…XXXになったら告白するんだ」みたいな男子のいじらしさを読みたい女子にもお勧め
なんせ、どこ切ってもキラキラでキュンキュンです
最後までお読みくださり、ありがとうございます!
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