056_20240704_リスタート!
基本情報
副題は「~34歳ゲームディレクターのつよくてニューゲーム~」
坂木原レム先生執筆の、yyyマンガ
講談社のWebマンガサイト「モーニング・ツー」にて、2021年4月から2022年5月まで、約1年連載
全20話、全3巻で完結済み
大まかな紹介
「未来を知る」という謎の老人と出会い、
1995年から現代にやってきた天才ゲームディレクター・宮友雄一(みやともゆういち)。
25年という時代のギャップに戸惑いながらも、持ち前の発想力と新たな仲間たちの協力で、
現代のゲーム開発に挑む!
導入
1995年、バブル崩壊直後、でもイケイケだった「ゲーム開発の現場」から始まる
スーパーファミコンのゲームを作ってるチーム、ディレクター宮友とチーフプログラマー岩間は、お互い悪態をつきながらも、信頼の元楽しんでゲームを作っていた
宮友は夕食戻りの途中、雨のなかフードをかぶった老人と出会う
「お前は会社に戻れない、”ドラレジェ4”はもう作れない」
「作りたいなら、会社の未来を救え!」
直後、今作ってるはずの”ドラレジェ4”の中古カードリッジが落ちているのを見つける
触れた瞬間「2020年の日本」にタイムスリップする
ゲームショップで「うわ‐懐かしい!ドラレジェ4!ディレクターが謎の失踪遂げたって言う」という話を聞く
「ドラレジェ30周年設定資料集」を本屋で見つける
ドラレジェ4に「自分が知らない仕様」が入ってて困惑する
自分の居た会社に行ってみると…「めちゃくちゃでけえ!」
入口でくらくらする宮友に、黒塗りの高級車から出てきた身なりの良い男に「大丈夫ですか」と声を掛けられる
社長となった当時チーフプログラマの岩間であった
仕様変更の件を尋ねると、応接室に通される
「タイムスリップした本人だ」と言っても信じてもらえない
それどころか「盟友の名を語る輩」として訝られる
過去の「二人しか知らないこと」を指摘すると、岩間は「良いことを思いついた」と宮友にけしかける
「現在進行形で解散寸前のPJがある、立て直せたら本物だという証明としましょう」
「必ず問題解決して、俺が宮友本人と証明してやる!」
次の日、スマホゲームの開発現場に案内される
「纏めきれないまま前ディレクターが長期療養に入って、ストーリーが繋がっていない?」
「時空を超える冒険」で細切れのストーリーでも「問題ない」ことにする、というアイディアを思いつき解決する
一晩でやってきたのを社長岩間が見て、信じる気持ちになる
感想
最近、ヴァイオレンスとか刺激の強いものや、社会的問題に関するもの、とかばかり読んでたので…
こういう安心して読めるヒロイックな痛快娯楽作を読みたかった
自分の好物を集めたマンガである
ゲーム、ゲーム開発、90年代、スーパーファミコン、当時の開発、現代の開発、アイディア勝負、タイムリープ、etc…
内容知らずに出会ってるので、期せずではありますが、自分の好きなものの集合体で3巻は一瞬で駆け抜けた
坂木原レム先生は「近現代史好きな元ゲームデザイナーの漫画描き」らしい
エンタメとしてマンガ書いてるとはいえ、ある程度の「業界経験の素地」がある、と思われる
なので「ファンタジーではある」ものの「ゲーム開発の現場はそれほどむちゃくちゃな描写ではない」と思われ、リアリティを添えてる
当時を少年として生きた者が「見たかった絵」がいっぱいある
当時の開発の現場の熱量とか
当時の若者たちが、今はレジェンドとして業界に居るが、再結集してモノづくりとか
現在の岡本吉起さん周辺とか、そんな感じに感じるし
そのレジェンドたちが気取らず若者と交流する話とか
舞台になってるその長期シリーズのゲームを、子供の頃からずっとやってきて、同人誌描いて、熱い愛がありながらも、同社なのにそのチームでは働けない女性デザイナーの話とか
胡散臭いけど実力のあるデザイナーが、当時の仲間の弟子だ、とか
当時を少年として生きた者のノスタルジーでの魅力ではあるものの
自分はそれに惹きつけられているが…
それだけじゃない魅力がある
現代の開発の現場のチームづくりとか、人の適正とか、課題の話とか
コンプラや働き方の改善で、変わったところもある、という話とか
体制や規模やお金の掛け方(例:声優)とかの「過去と現代の違い」の話とか
特に「プロジェクトマネージャーが入ってきて、昔は”徹夜や根性でなんとかしてた”体制を改善する話」とか、印象深い
俺が老兵側の立場と発想になって「現代は飛び道具を使えないなー」と、窮屈に思ってしまったり
でも「見える化する」ことの大事さは十分に解って個人的に葛藤したり
作中で「平成根性」って言われてるのにジェネレーションギャップを感じたり
数十年前に始まった当時人気だったゲームが、長期シリーズになった時の”現代を受け持つ人々”の苦労とか
頃合いの「推理要素」が有り難い
急に私事ですけど知人から「推理モンのレトロゲー」を勧められてやってるんですが…
まーミステリー畑の人でもないので、見事にミスリードにぜーんぶ転ばされて、けちょんけちょんにされて、悔しいやらなんともできんやら
その点、このマンガの「結末どうなるんや?」は頃合いの謎解きでいい感じ
俺でも「あれちゃう?」が当たったり当たらなかったり、程度のもの
人死には出ないし、テーマ的にハッピーエンドだろうが悲観的エンドだろうが、決着するならよし!という感じで
それも自分に丁度いい
総評
90年代のゲームに熱い時代を体験した人が「クリエイターサイドのストーリー」としての娯楽が楽しめるひとにはめっちゃ刺さる作品
それほど推理も必要ない「エンタメとしての謎解き」くらいを安心して読みたい人にもおすすめ
最後までお読みくださり、ありがとうございます!
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