2024年・観た記録その②
夏、というか真夏くんさぁ、もうおうち帰ったら?ご家族心配してるよ。
1 ホリプロステージ『オデッサ』
三谷幸喜さん作・演出の舞台作品を生で観るのは初めて。映画の方は何度か観たことがあったものの、正直作品によって好き嫌いがだいぶ別れたのでどうかなぁと思っていたのだが、この『オデッサ』は密度の濃い、ずっとぴりりと気持ちの良い緊張感が続く見ごたえのある作品だった。やっぱりストレートプレイって好きだなぁ。
主な舞台はアメリカ・オデッサの小さな部屋。舞台に立つのは柿澤勇人さん、宮澤エマさん、迫田孝也さんの御三方のみ。観る機会の多い宝塚とは違い、大がかりな舞台転換も衣装替えもないが、第一線で活躍する劇作家さんと役者さんによりめまぐるしく世界は動かされていく。次々と紐解かれていく秘密に、登場人物たちがはらはらと落としていく人生の影に、目が釘付けになりっぱなしの2時間弱だった。それから荻野清子さんによる劇伴の演奏も、作品のワンポイントとしてキラリと輝いていて素敵だった。
この舞台上では3種類の言語;英語、日本語(標準語)、日本語(薩摩弁)が飛び交う。作品自体もこの3言語による登場人物の意図的アンジャッシュ状態が肝になっていて、その仕掛けはバックの映像(字幕)で客席側のみに種明かしがなされるのだ。
余談にはなるが、薩摩弁は一口に言っても地域性やユーザの特性(年代、居住歴など)でだいぶ言葉の表現は変わる。私も何度か鹿児島で仕事をしたが、標準語ベースで若干イントネーションの癖がある程度のものもあれば、何を言っているのか全く聞き取れなかったものまで経験した。作中の主な薩摩弁ユーザ・迫田さん(鹿児島県のご出身ということもあり、引っ掛かりのないセリフが心地よかった)のお役は確か指宿出身だったからか、比較的マイルドな薩摩弁だった。
2 宝塚歌劇団花組『アルカンシェル』・・・というより柚香光さん・星風まどかさんのサヨナラショー
こちらはライブ配信で観劇。そして本当にごめんなさい、私はこの作品とあまり仲良くできませんでした。
「コロナ禍等もろもろで厳しい境遇の中、ひたむきに努力し周囲を思いやりながら歩みを進めたトップスター・柚香光さん」を表現したかったのは理解できたが、作品の背景とか話の持っていき方が私の解釈と合わなかった。そもそも舞台をセンシティブな第二次世界大戦時下のパリを選ばなくても良かったのでは…。
とはいえ花組の皆様はどなたも真剣に作品と向き合っていて、言葉通り一丸となって舞台を作っていこうという強い意志が映像越しにもひしひしと感じられた。トップコンビのまばゆい輝きはもちろんだったが、めちゃくちゃべっぴん度が増してた星空美咲ちゃんと、輝月ゆうま伯父貴の厄介キモおじ仕草はかなりインパクトがあった。それとどえらい美人がいるな?!と思ったらたいてい帆純まひろさんだった。この方も本公演で退団されたが、華やかな立ち姿から生まれるお芝居やダンス(個人的にTOP HATの印象が強い)が光る、素敵なタカラジェンヌさんだった。
どちらかというと印象に残っているのはお芝居終了後のフィナーレ~サヨナラショーだった。次期花組トップスターとして覚悟を決めた永久輝せあさんの堂々とした歌唱指導から始まり、花組らしいクラシカルながら目の前にいるオタク全員落としてやらぁ!的な気概あふれるステージは見ごたえ抜群だった。二人だけの戦場@柚香さんと永久輝さんタイムやったのと、Cool Beast!!爆踊りタイムやったので『アルカンシェル』のモヤモヤはちょっと薄れた。
そしてなにより柚香さん、やっぱりとんでもなくダンスが上手い。これまで何度か花組さんの舞台を観てきたが、この方だけ体の動かし方の次元が違う(解像度が2~3段階くらい高い)のだ。すらりと長い手足に繊細な指先、鋭い目線を自由自在に操る、「ダンスの花組」の象徴にふさわしい見事なまでのパフォーマンスだった。
柚香さんのダンスはいつも洗練された刀剣のような鋭さを感じることが多かったが、最後の黒燕尾ではそれが良い意味で角が取れて、花びらのような優しく柔らかい雰囲気が感じられた。
まどかちゃんもサヨナラショー、いや最後のご挨拶まで、可愛らしさと美しさ、そして気品が程よくミックスした両手いっぱいの花束のような娘役さんを貫き通していた。まどかちゃんの娘役力というか、娘役の宿命である「男役の引き立て役」の立場は初めて観たときから最後まで全くぶれなかった。宙組と花組の両方で「トップ娘役」として駆け抜けてきたからこその力量と覚悟を兼ね揃えた方だったと思う。
そして娘役の宿命の手から離れたまどかちゃんが、今後どんな姿を舞台で見せてくださるかもすごく楽しみにしている。
3 ANGERME CONCERT 2024 SECRET SECRET 佐々木莉佳子 FINAL「愛情の世界へ、君もおいでよ」
※コンサートの概要が分かる公式サイトらしきものが見当たらなかったので、モデルプレスのレポートを付けておきます。
莉佳子ちゃん、きれいやねぇ…
こちらはライブビューイングに参戦。ちなみに本公演の前に開催されたコンサート「SECRET SECRET」の方は現場で聴きにいくことができた。それとタオルも買った。これがまた丈夫かつ適度なフカフカ手触りで、今でも何かと日常的に愛用している。
前章はタカラジェンヌの退団公演、そして本章はアイドルの卒業コンサートである。いわゆるこのような「卒コン」は知らない世界だったのが、宝塚の退団公演と同じく、旅立つメンバーを送り出す皆が暖かくて優しくて、それでいてすごく大きなパワーに満ち溢れたコンサートだった。
私は莉佳子ちゃんの舞台パフォーマンス全般が大好きである。アイドル!感満載の可愛らしい声できゃるるんと喋るのに、ナンバーが始まったとたん目つきがグッと変わって、ダイナミックなダンスとまっすぐな歌声を響かせる。テーマカラーと同じ花・ヒマワリのような堂々とした立ち姿とまぶしくも包容力のある笑顔に、私を含め何人のオタクがノックアウトされただろうか。どうか莉佳子ちゃんのこれからの道のりも、明るくあたたかな日差しが溢れることを祈っている。
それからはこれはコンサート全体を観て思っていたのだが、アイドルって体力無限大なんですかね??
今回のコンサートだけでも20曲以上のセットリストがあったが、(ところどころ人数を絞ったところはあったものの)基本的にノンストップでコンサートは進んでいった。その間アンジュルムの皆様は歌ったり踊ったり走ったり、曲がなくても喋ったりジャンプしたり手を振ったり。ずっと動いているはずなのに、パフォーマンスは落ちることなくずっと最高潮!!だった。アイドルってすごい。
続きはまた今度に。
薩摩弁に一定以上の時間触れていると、自分の言葉イントネーションにも影響が出ることがままあります 芳田