【観戦レポートVol.②】第102回高校サッカー選手権大会決勝 青森山田高校×近江高校
先日まで行われていた第102回高校サッカー選手権大会。
今年の決勝のカードは青森山田高校×近江高校。
青森山田は毎年の優勝候補なので順当といえば順当ですが…
近江高校は高校野球のイメージのほうが強く、正直あまりサッカーのイメージがなかったですし、まさかここまで勝ち上がるとは予想していなかったので率直に驚きでした!
神村学園との試合を観た印象ではテクニカルな選手が多く"後ろから選手が湧き出してくるようなサッカー"という感じだったのですが、それが青森山田に対してどれくらい通用するのか?という目線でTV観戦しました。
感想① 近江のサッカーは"密集接近"+"神出鬼没"
試合序盤は近江のサッカーに対して青森山田の選手達に少し戸惑いが…
味方選手同士が非常に近い距離に集まってフリックやヒールパスなど細かいコンビネーションを織り交ぜながら攻めてくる近江の選手たちを、なかなか捕まえられずに突破を許す場面や、ポジションに捉われない流動的な動きに少し手を焼くような場面がありました。
このサッカースタイルは同じ滋賀県の野洲高校や、東北の聖和高校のそれと近いものを感じサッカーというよりフットサルに近い印象。
感想②青森山田は自分達の"王者のサッカー"
それでも青森山田の選手達は決して慌てる様子はなく、いつものように淡々とプレー。
相手と同じように過度に密集したりはせずに、奪ったら落ち着いてボールを密集から逃し横や後ろに展開。
基本は両サイドからのクロスを軸に攻撃を仕掛けていきました。
実際に前半の青森山田の先制のシーンも右サイドのクロスから生まれるなど
自分達がこれまで積み上げてきたサッカーを実直に実行し、それが結果に繋がっていました。
感想③過度な密集、自分達のバランスを崩したポジションチェンジは"諸刃の剣"
近江のサッカーの中心は10番の金山くん。彼がキーマンでした。
神出鬼没な彼のプレースタイルはそのまま近江高校のスタイルを表しているようで、
同点弾のアシストも「なんで左WBの選手がここに!?」というもの。
彼にはポジションという概念が全く無いのかと思うくらい自由な動きをしていたと思います。
(偽SB的な動き、川崎の山根選手っぽい)
ただこの近江の密集するスタイルは、そこでもし奪われた場合に近くに人数をかけている分
そこから広く展開されてしまうと全体のカバーやプレスが間に合わずにカウンターを受けやすいというデメリットも現象として出ていました。
後半のカウンターからの失点はまさに「相手のバランスを崩す為に自分達のバランスを崩す攻撃」がそのまま「守備でのバランスの悪さ」に直結してしまっていたと思います。
(攻撃時のメリットがそのまま守備時のデメリットに)
感想④後半終盤、如実に出た"地力の差"
青森山田は試合終盤になっても強度が全く落ちず単純な走力で近江を上回っていたのは明らかでした。
球際の攻防でも、相手のテクニックに対してボールに行くのではなく体を当てることでバランスを崩したり、フィジカルでも優位性がありましたし、そういうことの積み重ねで近江の選手達が疲弊していったように思います。
結局最終的には青森山田が余裕を持って勝利!
通算4度目の日本一に輝き、高円宮杯プレミアリーグの優勝と2冠を達成。お見事でした。
また常にロングスローや球際の激しさなどが話題になりやすい青森山田ですが、この大会を通してロングスローからの得点が無かったこと。
また全5戦で警告・退場処分も0人だったというのでこれにも驚き。
これはやはり単に"荒い"のではなく体の当て方や、手の使い方が上手いということの証明ですし…
ロングスローに関しても守備側が対策次第で防げるものであるという証明にもなったかもしれません。(個人的には今後この年代でも守備戦術が整備されロングスローが通用しなくなることを望みますが…)
とにかくその強さゆえ高校サッカー界のヒール的なポジションにされがちな青森山田ですが、そこにいる選手達は厳しい環境を自ら求めてやってきた精鋭部隊であることを改めて証明してみせましたし、その中でトップチームのレギュラーを取ってるような子達の努力はきっと計り知れないのだろうなと思います。
ただ1強では面白くないのも事実なので、他にももっと面白い高校がたくさん出てきて高校サッカー界全体のレベルが上がっていくことに期待したいと思います。
個人的には神村学園のサッカーが好きだったので、もっと上まで勝ち残って欲しかったですね…σ^_^;
それではまた次回!