幸せを感じるルーティン
最近のルーティンは、夜にヘアアイロンで髪を巻くこと。
正確には髪を巻く練習だ。
いい大人だけれど、未だに髪の巻き方が下手。
だから練習をしているのだけれど、夜に巻くのが私には適している。
なぜかというと、朝は巻いている時間がない。
5時から10分置きにアラームをセットしているところを、5時30分になってようやく起きるのだ。
歯を磨いて顔を洗ってコンタクトレンズを装置。
メイクを終えたら食堂に朝食を食べに行き、自分の部屋に戻ったら仕事に出発する準備をする。
髪なんて巻いている時間がない。
そして、もうひとつ。
上手く巻けなかったとしても、そのまま寝て起きればわりと誤魔化されている。
‥と自分では思っている。
何となくのふわふわ感と微妙なカールは残っているので、私のことをよく見ている人は巻いたことに気付くかもしれない。
普段の私の髪型は、どちらかというとサラサラストレートだからだ。
実際に、朝の食堂で
「髪切ったんですか?」
「巻いたんですね!」
と声をかけてくれた女子がいた。
私の変化に気付いてくれたんだなと思うと嬉しかった。
けれどその子も含め、他にも巻いたことに気付いている人がいたとして、まさか前日の夜に巻いているとは気付かないだろう。
私は仕事が終わり、お風呂に入ったあとで出かけることが割りと多い。
そんな時でも、出かける前ではなく帰って来て寝る前に巻いている。
普通なら逆だと思うけれど、私はこの謎の秘密の時間が楽しい。
目的は巻くことそのものではなく、巻いている時のウキウキ感なのだ。
Youtubeを見ながら練習してもなかなか上達しない。
けれどそれでいい。
巻く時間が楽しいのだから。
デートに行く前のようなウキウキ感。
好きな人や大切な人に
「可愛いね」
と言われたい、もしくは心の中で思われたいというドキドキ感。
そんな気持ちを感じられる時間だから楽しいのだ。
だから上達して完璧にはまだなりたくないという思いもあるのだと思う。
このなかなか上達しない過程に浸っている時間が幸せなのだ、きっと。
けれど現実問題、寝る前に巻くのは髪が傷みやすいのでほどほどにした方がいい。
もしいつか見違えるように上達する日が来たら、その時は
「綺麗に巻けてるね。」
「可愛いね。」
と言われたい。
その日まで、私はワクワクしながら寝る前に髪を巻くのだ。