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「逃げる」は勇気ある選択――自分を守るためにできること

最近、子どもや若者の自殺が過去最多を記録したというニュースを目にしました。2024年には、小中高生の自殺者数が527人に上り、過去最多となったそうです。これほど多くの子どもたちが、深刻な悩みを抱えた末に最悪の選択をしてしまったことに、胸が締め付けられる思いです。

「生きるのがつらい」「もう逃げ場がない」――そんな思いに囚われてしまったとき、私たちはどうすればいいのでしょうか?

私は自分の経験からも、「逃げる」ことは決して恥ずかしいことではなく、自分を守るための大切な選択肢の一つだと考えています。


「逃げる」ことは悪いことではない

日本の社会では、「逃げる=心が弱い」といったイメージがいまだに根強く残っています。たとえ学校や職場でつらいことがあっても、「我慢しなければならない」「乗り越えなければならない」と言われることが多いですよね。しかし、本当にそうでしょうか?

たとえば、学校でいじめに遭っている子がいたとします。毎日、心ない言葉を浴びせられたり、仲間外れにされたりする。その子は、朝起きるたびに「また学校に行かなければならないのか」と絶望し、次第に笑顔を失っていく……。

こんな状況に置かれたとき、「頑張って学校に行かなきゃだめだ」と言われても、それはあまりに酷な話です。冒頭で紹介したデータは我慢を続け、心が壊れてしまう子が増えた結果起きている現実です。それならば、「学校に行かない」「環境を変える」という選択肢を持つことのほうが、よほど健全ではないでしょうか?

「逃げる」というと、どこか後ろ向きな印象を持たれがちですが、実はそうではありません。「今の環境が自分を傷つけている」ことに気づき、「これ以上ここにいたらダメだ」と判断する。そのうえで、自分の身を守るためにその場から離れるのは、むしろ勇気ある素晴らしい決断なのです。

「逃げ活」という考え方

最近、「逃げ活(にげかつ)」という言葉を耳にするようになりました。これは、厚生労働省が推奨している考え方で、「自分を守るために逃げることを積極的に選択し、生き延びる活動」のことを指します。

「逃げることは甘えじゃない。自分を守るための大切な手段だ」と国が認めたということは、多くの人にとって救いになるのではないでしょうか。

たとえば、学校がつらいなら、無理に通わなくてもいい。フリースクールやオンライン学習という選択肢もあります。家庭がつらいなら、児童相談所や支援団体に助けを求めることもできる。今いる場所だけが社会のすべてではありません。

大切なのは、「逃げることを恥じないこと」。そして、「逃げた先にも新しい道がある」ことを知ることです。

逃げるための方法を知ろう

「逃げてもいい」と言われても、どうやって逃げればいいかわからない人も多いと思います。そこで、いくつかの方法を紹介します。

1. 信頼できる人に相談する
家族や友人、先生など、話せる相手がいるなら、まずは気持ちを打ち明けてみてください。一人で抱え込むと、視野が狭くなり、実はたくさんあるはずの選択肢が見えなくなってしまいます。誰かに話すことで、「そんな方法もあったのか」と気づくこともあります。

2. SNSや相談窓口を利用する
「身近な人には相談しづらい」という場合は、SNSや電話相談などを活用するのもおすすめです。たとえば、厚生労働省の「まもろうよこころ」では、LINEや電話で悩みを相談できる窓口を紹介しています。

また、「いのちの電話」や「チャイルドライン」など、子どもや若者向けの相談窓口もあります。知らない人に話すのは勇気がいるかもしれませんが、話すだけでも心が軽くなることがあります。しっかりと話を聞いてくれる人は、あなたが思っている以上にたくさんいます。

3. 物理的に環境を変える
学校や職場、家庭の環境がつらい場合は、思い切って物理的に距離を置くのも一つの方法です。不登校を選択したり、転校したり、一時的に親戚の家に身を寄せたりすることで、気持ちが楽になることもあります。

4. 逃げた後の道を探す
「逃げる」と言っても、何も考えずに逃げ出すのではなく、「次にどうするか」も考えておくと安心です。フリースクールや通信制高校、就労支援制度など、逃げた先にも多くの選択肢があることを知っておくと、「逃げても大丈夫なんだ」と思えるはずです。

最後に伝えたいこと

もし今、この記事を読んでいるあなたが「もう限界だ」と感じているなら、どうか無理をしないでください。あなたの命は、何よりも大切です。どんなにつらくても、「逃げる」ことは決して間違いではありません。むしろ、生きるために必要な手段です。

そして、あなたは一人ではありません。助けを求めれば、必ず手を差し伸べてくれる人がいます。

「逃げる」ことを選択した先に、きっと新しい希望が待っています。どうか、自分を大切にしてください。あなたの未来には、まだたくさんの可能性が広がっています。

「生きる」ために、「逃げる」。その選択を、私は全力で肯定します。

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Kazu(菊川和幸)
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