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飲食店のPL(損益計算表)の60%理論と超繁盛店はどうなっているか

今ベトナムで働いているっていうと安価な人件費と安い家賃のイメージもあって飲食店でも利益がでやすいのではないかと思う方は多いです。通常FL(食材費と人件費)目標が60%といわれていて、そのLの部分が減るのでそうなるのだと思います。ただ実際は人件費の安いベトナムでも利益をだすようにするには頑張らないといけませんし、そもそも60%だとどんな感じになるのか簡単に書いてみます。


そこでまず僕が実際に働いて管理していた経験から推測する市場平均からみた各国の微妙な違いを書いてみようと思います。あくまで僕の個人的推測値です。

まず前述した通り日本だと利益を出すための目標としてFL60%と言われております。そこで家賃が約10%、光熱費や雑費、手数料等のその他が15%くらい。それで利益が10−15%でたら良いのではと思います。

次にシンガポール。全体の形としては60%にすると、人件費はもっとかかってきて35%くらい、また販売価格が日本より高くなる分、原価は一般的にもっと低くなって25%以下くらい。その他費用も基本日本と同じくらいを推測して、光熱費と家賃は高くなる。その分サービスチャージ10%が上乗せできることにより、利益10−15%といった目標値になるかなと思います。

ではベトナム。人件費は通常だと15%くらい、その分食材費は35%(ローカル食材以外は同じか場合によってはそれ以上)特に選択肢や入っている量が少ない分高くなる)、人件費を多く使っている店舗で20%だとしても55%。じゃあ家賃やその他雑費を低くて利益がその分増えるかといったら全然そうではなくて、光熱費は同じようにかかり10%ー15%、家賃は普通に10%でおさまっているところはあまりなくて、だいたい15%かなといったところです。はい、家賃は以外と高いです。。(ちなみにこれは平均だと思う数字で今働いている会社はちょっと違います)

これについては僕は家賃を扱う仕事をしているのもあり、なんでベトナムなのにこんな家賃高いんだよというのが本音でした(まあ、もちろんピンきりなのですが)まあその高い家賃でも良いところはすぐに埋まります。これは考えたのですが、FLが60%行くような店が少ない分、その分家賃は高くてもPL上は余裕がでてくるから高い家賃を多少払っても利益はだせる、結果次もみつかるので家賃比率が人件費率よりも高くなってくるといった循環な気がします。(ショッピングモールやオフィスビル内はもっと高くてある程度資金力がないと基本だせません。。。またすべての法律遵守をすると相当な追加コストがかかってくる国でもあります。そのあたりは非常に長くなるので今度まとめてみようと思います)

結果ベトナムの場合重く固定費がかかってくるリスクがおおくなり、お客様がこないと、家賃比率の高さが重くのしかかります。


さてPLに話を戻すと、僕も違った傾向の3カ国(日本、シンガポール、ベトナム)で実際に現場で働いてきて店舗でいえばちがう単価、業態で数字を見てきました。その上で理想のPLの形とはどのような感じなんだろうかというのを考えてきました。また当たり前ですが利益は継続する必要があり(1度だけよい利益になってもそれでお客様が戻ってこなかったら意味がない)その上で、僕のベンチマークしている超繁盛店のケースをだしたいと思います。その2店舗は火鍋のHai Di Laoと小籠包のディンタイフォンです。上記でも書いたとおり通常FL60%と言われている中、この2店は少し違います。


-Hai Di Lao    

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中国を中心に10カ国以上に展開している有名火鍋チェーンです。僕も4カ所(上海、台北、シンガポール、ホーチミン)と訪れましたが基本どこもピーク時間の1時間以上まちは当たり前の繁盛店です。そんなHai Di Laoですが、2018年にIPOしておりPLのデータも好評されております。ちなみにHai Di LaoのGrobal Offeringの資料は非常に見ごたえがあります。

ちなみにWed上で2018年のPLデータが見れるので見てみます。

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まず、Raw Material and consumablesの部分で41%です。そしてStaff Costで29.5%、単純にFL合わせて70%を超えてます。消耗品をここに含めているとしてもカフェのように容器の方がコストが高いとかはないので、かなり高いFL比率です。それでも税抜前利益で13%。かなり良い数字です。家賃比率は全体で4%、そうとう低いです。Hai Di Lao一度知人に細かく案内してもらったことあるのですが、サービスは相当気を使っていますし、キッチン内は非常に工夫されてます。無料のネイルサービスや、店外での挨拶のスタッフとかもいて、人件費はこの数字は感覚値より相当低い印象を持ってます。どちらにしても、FLにかなりコストをかてます。


-ディンタイフォン

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こちらも有名な台湾発祥の小籠包のチェーン、日本にも展開しております。台湾の店舗しか行ったことはないですがこちらも基本は待たないと入れない超混雑店です。こちらは公表されているわけではないのでPLはないですが、以下の記事が非常に興味深いです。

離職率や給料等もすごい興味深いですが、気になった部分は人件費率。50%超えです。。食材費が20%で抑えられていると仮定しても(決して値段は高くはないので)こちらもFL比率は普通に70%超えが推測されます。

なんでそれができるのかと考えると、やはり圧倒的な売上。台湾のショッピングモール内の店舗の数字を、待ち人数番号から推測してみました。

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上記の写真がウェイティングの番号表なのですが上記14時40分の時点です。1-2名、3-4名と別れていて、おそらく毎日1-2名は1,000から、3-4名は3000から順に発行されていくとはずです。

こちらの番号から計算すると
129*1.8+109*3.5+52*5.5+39*8=1,212、20%がNo Showと仮定しても1000人で、席数が200席ですと1回転目を足すとすでに1200人。
営業時間が11時−22時なのでOpen4時間弱でまだ7時間は残っております。
低め客単価予測で1200円だとしてもこれからディナーが控えており、15時-22時までの売上を考えても2倍にはなるとすると、2500人*1200円=300万円/日です。


この繁盛店に共通しているのは圧倒的なサービス精神(人件費含む)と70%を超える高いFLコストです。それと圧倒的な売上による固定費の少なさ。FL(フードとサービス)この部分が飲食店だとダイレクトにお客様に影響する部分。60%の店よりもお客様に還元している部分が大きい分、お客様が来店、リピートして、それが圧倒的な売上につながり、結果固定費率や光熱費率が下がり、結果として70%を超えても利益は同じだけ出る。これが本当に理想の形だと考えてます。


もちろんこちらも国によって違いはあるかもしれないですが、目指すべき部分としては非常に勉強になる2つの店舗。結論なにが言いたいかというと、FL60%はあくまで指針であって、それは絶対ではないということ。飲食業で働く身としてここを目指していきたいと思ってます。

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