ブラームスチェロソナタ第1番の仄暗さ(どん底の暗さ?)は一体どこから来るのか
備忘録も兼ねて。
今日のブラームスチェロソナタ第1番は1862〜65年にかけて作曲。ブラームス29歳から32歳の時。若い!!
チェロソナタは第2番ははつらつとしているのに第1番はとにかく暗くて渋い。若い頃に書いたのになぜなんだろうとずっと思っていたのだけれど、そりゃあそうだ、この時期には傑作「ドイツレクイエム」を書いているのだから。それと同じ種類の暗さやそこから生まれる救いへの願いや希望といったものが込められていたとしても全く不思議ではない。ブラームスは母親を1865年2月に亡くしている。
ちなみにシューマンがなくなったのが1856年。連弾のシューマンの主題による変奏曲を書いたのが1861年。この曲はまだ詳しく知らないけれど、ブラームスはまだこの時期においてもシューマンがなくなったことを自分のせいだと思い悔いていたのだろうか。雨の歌や交響曲第2番、ヴァイオリン協奏曲、ピアノ協奏曲第2番で見せる朗らかでおおらかで幸福感に包まれたブラームスとはまた違う若い頃の仄暗い情熱を最も表した曲がこのチェロソナタが1番だと思う。この要素は、ピアノ四重奏曲第1番、ピアノ五重奏曲、ピアノ協奏曲第1番にも共通しているが、チェロの低い音域を利用したこのチェロソナタが最もブラームスの心の内側に近いところにいるのではないだろうか。