転職は何歳まで?
転職は何歳までなら可能か?それは転職者にとって最大の関心ごとの1つでしょう。35歳までという話をよく聞く気がしますが、さて根拠はあるのでしょうか。
求人広告で年齢制限をするのは法律違反です。年齢を理由に不採用にすることもできません。ただし、例外が認められています。それをまとめてみましょう。
1)定年を上限にする
60歳定年なら60歳までを上限にできます。ただし、59歳以下にすることはできません。
2)若者のキャリア形成を目的とする場合
45歳ぐらいまでの年齢制限が認められます。この場合、雇用期間を定めることはできません。さらに、実務経験を問うこともできません。長期雇用によるキャリア形成で若年者の雇用問題を解決することを目的としているためです。
3)技能の引継ぎが必要な場合
30~49歳の層が不足している場合は、無期雇用を条件にその層に限定することができます。
4)モデルや役者など作品の表現のため
表現の真実性が必要な場合のみ年齢制限ができます。キャンペーンモデルの場合は、宣伝目的であるため年齢制限はできません。
こうした約束事は、確かに求人広告上に反映されています。しかし、実態はどうでしょうか。
人材紹介会社は求人企業を訪れて人事担当者から、その本音を聞くことになります。
こんな経験はありませんか。求人広告に誘われて応募はしてみたものの、人材紹介会社に断られてしまった。これは、広告には表せていなかったが、求人企業が望むウラの要件があり、それにマッチしなかったと思われます。
私は以前、紹介会社で企業の人事部を回っていましたが、35歳以下を採用したいという要望が確かに多くありました。その経験から、転職は35歳までというのはあながち都市伝説とも言えないと思います。
かと言って、35歳を過ぎたら転職を勧められないかと言えば、これも間違いではないでしょうか。
一度、原点に立ち返り、転職というものの考え方から洗い直すべきではないかと思うのです。
D.Eスーパーは、人の発達を5段階に分けました。
0~14歳 成長段階
15~24歳 探索段階
25~44歳 確率段階
45~64歳 維持段階
65歳~ 衰退・解放段階
この発達理論を見ていると、転職が問われるのはその質だと思います。24歳までなら、自分の適性の模索時期ですから、全くの異業種への転職もできるということでしょう。
25~44歳の転職はどうでしょうか。自分が確立された時期です。新しい業種よりも、ここと決めた業種内やステップアップのための転職を考えるべきでしょう。
45~64歳の場合はどうでしょうか。維持の段階ですから、本来なら転職自体に積極的になれません。それでもしたいのであれば、内容、地位、給与などの点で横滑り的な転職が現実的になってくると思います。
転職は何歳までか、という考え方は安直過ぎる気がします。年齢によって求めるものが変るのだということを理解するべきでしょう。求めるものが変われば転職の先も変わってきます。
探索か、確立か、維持か、解放か。何のための転職なのかを意識すること。それが成功のカギではなのだと思います。