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紙とペン

手書きの日記は有用だ。
毎日、どんな感情にも吐き出す場を与えてくれる。

けれど、吐き出したその感情を取り出せるかについてはなんとも言い難い。

感情はふるいにかからず、紙の繊維の隙間をすり抜けていく。

残ったのはインクと文字から読み取れる情報のみ。
感情は水のように無色透明であり、紙を濡らしては、乾き消え去る。

なので、日記から興奮や悲しみを取り出すことはできない。

それがあったということを、思い返すことしかできない。

考えれば、考えるほどに下記の結論に至る。

紙とペン以上の理解者はいない。

それが自分しか見ないものであるのなら、恥も悲しみも苦悩も。

全て受け入れてくれるのだから。

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