読書感想文「絶対に面白い化学入門 世界史は化学でできている」左巻 健男 (著)
何を隠そう私は、元ケミストである。なので,化学については一言ある。
化学の作用や効能を発揮させること自体は目に見えない。なので,現象を理解・説明するためのプロセスは頭の中で進む。試験官やフラスコの中で色が変わったー!と喜んでみても,それは機械や力学のように全てが目に見えるわけでもなく,電子基盤の回路やプログラミングのコードが並ぶ様でもなく,目に見えるのはあくまで結果でしかない。なので,こういう風に説明するともっとも合点がいく,というのが目に見えない化学の本質である。
なので魔法にもっとも近い位置にいたのが化学である。バケガクとはよく言ったものだ。
そうした化学が世界を変えてきた点で,世界史を説明し化学史におけるスーパースターを紹介したのが本書である。燃焼という化学作用である火を使うようになった人類の歴史そのものが化学の歴史である。金属精錬,陶器・磁気,醸造・蒸留,抗生物質,化学合成,原子力。
文系だし化学よくわかんねーなー,というあなたもご一読を。