草や木や花、風が届ける香りに いつかの記憶を思い出すことがあります。梅はいつかの春を 桜はいつかの春を 今度来る春には きっとこの春のことも思い出す。 楽しかったことは楽しいままに 哀しかったことは 違う見方を持てるようになった自分を知るために。
3月のはじめ 父が最期に見たかった梅の木のそばに 家族が集いました。恋と勉強と部活に明け暮れている娘も 生意気を言うのを生き甲斐にしている娘も 全員が集まることができたこの日、母が読みあげた正信偈はあたたかく、哀しいだけではない記憶が 17年目にしてようやく重なったように思えます。
記憶をかたちづくる もののカタチ 音や香りや 想い。この日の読みあげ練習を張りきっていた母に、私の誕生日にはバラを贈ってくれた父に、ありがとうの気持ちを温めています。