風の世界の童話|漂うように、ただそれだけで【連作短編】
ふわわ~ふわわ~
クラゲさんはいつも浮かんでいる。
でもふわふわしてて何も考えていないのかというと、実は違うのです。
クラゲさんはとにかく頭がいいんです
「あーその視点はなかったです。」
と、いうのがクラゲさんが何かを伝えたときの周りの反応だ。
細かなところもよく気が付くし、視点がとてもこまやかで正確です。
ふわふわしているけどルールはきっちり守ります
ふわわ~ふわわ~
「クラゲさんっ!!!!」
ものすごい速さで、マンボウさんがクラゲさんのところにやってきました。
「どうしたの?」と近くにいたクラゲさんが聞きます。
と、その横でものすごい顔をして別のクラゲさんが去っていきました。
そう、クラゲさんは ”好き・嫌い” がとっても自分でよくわかるし、自分で自分のご機嫌をとるのが得意なのです。
嫌いな人とは徹底して会話しないということでご機嫌を取るクラゲさんもいます。
賢いですね。
あ、マンボウさんの相談にクラゲさんは、何やらアドバイスをしたようですね。
「うん、よくわかったよ!!さすがクラゲさんだ!!!」
そうなのです。クラゲさんのところに来て相談するみんなは、とっても納得していくのです。
その様子を見ていたアザラシさんが、陸上から質問をしています。
「・・・・・・・・」
クラゲさんが何やら回答をしたようです。
アザラシさんは不思議な顔をしてどこかに行ってしまいましたよ・・・。
「アザラシ君はあれでいいんですよ。だって、同じところにいないんだから聞けるものも聞けないでしょう。きっと聞こえなかったんじゃないかな」
確かに・・・そうですね。
そしてお互いにそれでいいと思っているようですね。
ふわわ~ふわわ~
あれ・・・あれれ???クラゲさんたちがおうちに帰っていくようですよ・・・??
「く・・・クラゲさん・・・??まだお仕事終わってないよ!!」
慌ててペンギンさんが指摘に来ました。
「いいんだよ~。15時までは絶対にいてねって言われたけど、ほらもう16時だもの~~」
ペンギンさんは、はて?と考え中
みんなの前を堂々と帰っていくクラゲさん。
あれ?でもクラゲさんが正しいかもしれないね・・・。
ふわわ~ふわわ~
こう、生きてみたいね、とみんなが言います。
みんなが憧れます。
漂うように生きるのならばそれがいいかもしれないね。
それがかっこいいかもしれないね。
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