私の恐怖体験記 1 アルコール依存症の症状
「私の恐怖体験記」というシリーズで、私がアルコール依存症の夫との生活で体験した内容をまとめていこうと思います。過去の事を振り返ると、まだ頭の中がごちゃごちゃしてしまうので、思いついたものからご紹介したいと思います。
「声が聞こえる(幻覚・幻聴)」
家じゅうのあらゆる戸棚からお酒の瓶やチューハイの缶が現れるようになってから、私は毎日イライラしていた。たぶん、彼がそれをこまめに片づけてくれていればそのイライラも最小限にとどまっていたのかもしれないけど、未開封でない飲みかけの、少しだけ中身を残したその瓶や缶を見つけてはイライラしながら処分していた。
「私が飲んだやつじゃないのに、何で私が片づけなアカンねん」
と思いながらも、部屋が汚くなるのが嫌だったので、ついつい私が片づけてしまっていたのである。最初は「飲んだら片づけてよね」と軽く注意するだけだったのが、毎日続くそれに私も我慢の限界で、口調は日に日に強くなっていった。
お酒の瓶や缶を処分しながら、夫に文句を言う→夫が私に怒られていると思いショックを受けて、そのストレスからまたお酒を飲む→お酒の瓶がまた増える→お酒の瓶が増える→夫に文句を言う→夫のストレスが増えてお酒の量が増える・・・
といった形で、私は負の無限ループにはまっていった・・・
その負の連鎖の途中で、私は「このゴミを放置してみたらどーなるんだろう・・・」と1、2週間程放置してみたけど、結局何も変わらず、私が根負けして片づけてしまった・・・orz
腹が立った私は、未開封の瓶の中身を空にしたこともあった。心の中では「500円をドブに流している・・・」と血の涙を流しながら台所のシンクにお酒をぶちまけた。本当に辛かった。ただ、お酒を流す行為は何も役に立たなかった。本当にお金を捨てているだけだった。
そんな生活を続けていて、精神衛生上いいわけない。私も夫もお互い傷つけあって、日に日に心を病んでいっていたと思う。当時「アルコール依存症」という認識を持っていなかった私は、何をどうしていいのかわからず、助けを求めることすら頭に浮かばず、毎日途方に暮れ日々を必死に過ごしていた。
そして、依存症の症状がかなり進んだある頃から、夫が奇妙な行動をとるようになってしまった。
ある朝、朝の4時ごろに私を叩き起こし、「玄関の外で、女の人が叫んでる。包丁を持って僕を殺すって言ってる・・・」と怯えながら訴えてきたのである。私は「そんなことあるかい」と思いながらも、夫の表情から冗談とは思えなくなり、玄関ののぞき穴から外を確認してみたが、誰もいなかった。
それが数日続いたので、夫に詳しくその「包丁を持った女」の事をたずねてみた。彼曰く「上の階に住んでいる女の人」ということだった。当時私たちはよくあるアパートで暮らしていた。
また次の日も明け方の4時ごろに私を起こし、「上の階の女の人がまた叫んでいる」と訴えてきたため、ベランダの扉を少し開いて声を聞こうとしたけど、外は静まり返って何も聞こえなかった。ただ、夫は「ねっ!?今!叫んでるの聞こえたでしょ!?」と私に必死に訴えかけてくる。
私は「今何も聞こえないよ」と何度か夫に伝えたけど、「あ、今静かになったかも」とタイミングよく”その声””が静かになったりして、その声が私の耳に届くことはなかった。
その頃私の仕事も少しハードな時期で、私は心身共に疲れ切っていた。ただ、夫があまりにも訴えてくるので、私は数日仕事終わりに真上の部屋の様子を伺いに行っていたのだが、その部屋はいつも暗く、生活感は一向に感じられなかった。
「生活リズムが違う人なのかな・・・」
と心にモヤモヤを抱えたまま、夫の言葉を少しでも信じてあげようとした。「幻聴や幻覚」が日常の生活になかった私には、信じがたい事だったし、その当時は本当に信じられない出来事だった。ただ、夫が「とうとうおかしくなってしまったな」という思いがだんだんと膨らんでいった。
その数日後、私が仕事中に私の携帯電話が鳴った。電話を取ってみると、それは警察署からの電話だった。
「お宅の旦那さんが、今こちらにいらっしゃってて、近所の人から脅迫されているとのことなんです。旦那さんの証言通りに、上の階のお部屋に行って確認をしてみたんですけどね、そこの部屋の方留守にされていて確認とれなかったんです。」
ということだった。電話をくれた警察官の方にお礼を伝え、就業時間間際だった私は、仕事を早々に切り上げて、帰宅・・・とアパートの共同玄関を入ったところで、アパートの管理人さんに遭遇した。
「あ!そうだ管理人さんに聞いてみよう」
と管理人さんに、上の階にどんな人が住んでいるか聞いてみた。
すると・・・
その部屋は空き部屋だった・・・
私は「もしかすると、数日前まで住んでいて引っ越したのかも」と思い、確認をしてみたのだが、管理人さん曰くしばらく空き部屋ということだった・・・
帰宅してから、電気もつけず暗闇の中で憔悴しきった夫を見て、私は
「もうダメだ。限界」
と心の中で呟いた。
私は何から伝えていいかもわからず、恐怖で震えている夫を抱きしめてしばらく泣いていた。
ー おわり -
私の投稿を読んで下さり、ありがとうございます。
☆風の子のつぶやき☆
夫のこの幻聴や幻覚はアルコール依存症の症状がかなりすすんだ時期のものです。その頃はたぶん、ジンの瓶を毎日1~2本開けていたかな・・・
(私は彼にお金を一切渡していなかったのですが、どのようにして彼がお酒を手に入れていたかも今後書いていきたいと思います)
夫が症状を発症してから5年程経って、私なりに気づいた事は、夫の行動は「愛情の欠如」が原因なのではないかということ。(ここら辺はさらに、夫がアルコール依存症となった原因とと繋がっているということを発見しつつあります。)
夫は自分の飲んだお酒の瓶や缶をそこら辺に放置をすることで、私の気をひこうとしていたみたいです。たぶん、これは子供が親の気をひこうとする時に悪さするみたいな感覚・・・
あの当時、私がもっと夫に愛情を表現してあげれたら何か変わったのかなと思い、今はそれを実践してみています。すると不思議な事に、アルコールを飲むスピードが遅くなり、少量ですが飲む量も何ミリリットルか減っています。(もしくはそんな気がするだけ?笑)
この後私は、周りに助けを求めるようになっていきます。
今人生で辛い時期にいらっしゃる方へ
頑張らなくていいです。辛すぎると思うなら、逃げていいです。今問題に向き合おうとしなくていいです。一旦、その辛い課題と離れて心と体を休める事を優先してください。自分を大切にしていいです。今は「私のわがままなんじゃ・・・」と頭に浮かぶ疑問は信じなくていいし、自分を一番にしていいです。
十分休養を取ったら、わからないことがわかるようになるかもしれないし、見えないことが見えてくることがあります。これは、私の経験談です。
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