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#18 春を迎えられなかった恋

駅に着くまでに雪はやんでしまった

あんなに勢いよく降っていたのに

地面に落ちるたびにすぐに消えてなくなっていく

それは小さな、かろうじて形を保ったものだった

バス停で彼女の到着を待つ

(せっかく一緒に雪が見れると思ったのに)

バスがきて、彼女が降りてきた

「お待たせ、外寒かったでしょ?雪降ってたもんね。ごめんね、待たせちゃって」

「んーん、大丈夫だったよー。アカネちゃんの方も雪降ってた?今日積もるかと思った」

「ねー、積もればよかったのに。また、降らないかなー?」

そんな会話をしながら、改札へ向かう

2人分の切符を買ってアカネちゃんへ渡す

彼女は自分で出すと言ってくれたが、前ライブのチケット買ってくれたから、いいよと言うと

「あれは、私がシュンを見たくて行ったんだから、それこそ気にしなくていいのに」

(めちゃくちゃ嬉しいじゃないか)


駅のホームで2人で電車を待つ

この時、やっと彼女のことをまともに見れた

お団子頭に薄い色のベージュのニット、黒のスカート姿で耳にはイヤリングをしている。白いマフラーに白いリュックのカバン。足元はアディダスの白スニーカーだった。

普段の学校の時と全然違う

ベンチに座った彼女を黙って見てたら

「なにー?ジロジロ見て、恥ずかしいんだけど 笑」

「いやー、なんかいつもと違うから…可愛いなーと思った」

「素直に言わないでもいいのに…嬉しいけど笑」

電車が来た

朝早かったので、まだ人はそんなに多くない。ポツリポツリと人がいたけど、僕らは空いている4人がけの席に2人で座る

こうして、誰の目も気にせずにいられるのは初めてだったかもしれない。

映画は当時CMでよくやっていた、ロードオブザリングを見ようと言う話になっていた

「映画楽しみだね、友達から聞いたけど面白いらしいよー」

彼女はいつも通りだ

僕は緊張して、なんだか口数が少なかった

「どうしたの?、体調でも悪い?」

「いや、違うよー…おれさ、こーゆうの初めてだから」

「あ、緊張してるの?珍しーい 笑」

「そーだよ、悪かったね 笑」

そこでふと疑問に思ったことが口を出た

「アカネちゃんは、今まで付き合ったことあるの?」

やばい、これは今聞くことじゃないなと

思ったが遅かった

2、3秒かもしれないし、1分くらいだったかもしれないが

少しの間、電車の走る音だけが響いた

「前ね、先輩と付き合ってたことあるよ、でもね、少しの間ですぐ別れたの」


僕は自分が初めての相手ではないことに少し残念な気持ちと、どんな相手だったのか気になったが、やっぱり今聞くことじゃないなと

「さっすが、アカネちゃん。人生の先輩だねー笑」

とチャカしてなんとかこの場をやり過ごした











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