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#13 春を迎えられなかった恋

最後の曲はあっという間に終わった。

僕らの出番も終了だ。すぐに後ろにはける。次のバンドの準備があるからだ。

僕らは裏へ戻って、お疲れ様と言い合った。皆目が輝いていたと思う。多分僕も。

それからすぐ、下に降りた。長谷川さん達を探しに。次のバンドが始まりそうだった。

入り口の近くを見ると後ろ姿が見えた。けど、僕は友達にほかのバンド見に行こうと誘われて、そっちに向かってしまった。また後でお礼を言おう

長谷川さん達はどうやらこの時帰っていたらしい。家が遠かったから、すぐに帰らないと行けなかったとメールが入っていた。

たった3曲だけの為に来てもらったことがなんだか申し訳なくて、今度会ったらちゃんとお礼を言おうと思った。

しかし、それから長谷川さん達は受験勉強が忙しくなかなか部活にも顔を出せない日が続いていた。僕もバイトと掛け持ちだったから、あれ以来2週間くらい会っていない

メールでわざわざ言うのもなんだかなぁ

と思いながら自分の部屋の机に向かっていた。今は自分もテスト期間中だから、ガラにもなく少し勉強していたのだ。不真面目だけど、赤点はマズイからとりたくなかった。最低限勉強はしていた。

すると夜の11時頃、携帯が鳴った。

長谷川さんからメールだ。

「起きてる?」

珍しいな、こんな時間に。どーしたんだろ?

「起きてるよ?どうしたの?こんな遅くに」

メールを返した。

「何してるのー?」

何って、まあ勉強って言うのもなんかガラじゃないから

「ゴロゴロしてるよー、長谷川さんは勉強してた?」

「んー勉強してたよ。なんとなく、何してるのかなーと思ってメールしてみた 笑」

ふーん、なんかあったのかな?と、思ってなんて返そうか悩んでいたら、続けてメールが来た

「あのさ…よかったら私と付き合わない?」



…えっ


本当に突然すぎて、完全に意表を突かれた僕は携帯の画面を見たまま動けなくなってしまった



この時期には珍しく、その日外は雨が降っていた。



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