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ひびきの空き地

構成・音楽編集・パフォーマンス:風姫

第12回京都国際インパクトアートフェスティバル(1991年9月25~29日)
京都市京セラ美術館   
主催:京都国際芸術センター

映画館裏の空き地は、子供のころのお気に入りの遊び場でした。
そこに行くと、上映中の映画の音(音楽や声)が聞こえてきます。
時のたつのも忘れて、ひろがるイメージの世界を楽しみました。

この作品は、場との交感から生まれた物語や幻景を表現しようとはじめた
TRANSFORMATIONシリーズの3作目です。

演劇から、パフォーマンスにフィールドを移して、いろいろと悩んでいた頃の作品で、途中何度も無理かな~と、苦しんで作ったのを覚えています。
しかし、振り返れば、今に続く表現活動に対する大事な姿勢を鍛える時間だったかなと思います。多くのアーティストやアートを楽しみながら応援する企業人や研究者とも出会いました。

会期中、午後2時22分から毎日、パフォーマンスを行いました。

このころ、この美術館は「京都市美術館」という名で、現存する公立美術館としては最も古い貴重な建物でした。2018年からリニューアル工事がはじまり、2020年5月26日に新しく開館したそうです。まだ行ったことがないので、いつかは( ^ω^)・・・

ー私有地につき、入るべからずーと書かれた看板のある半径5mの場。

円の輪郭にそって等間隔に透明なコップが8個、水とアセロラドリンクが
注がれている。光がコップに集まり、きらきらゆれる。

「闇」という名の少女がどこからかやってきて、この空き地にたおれこむ。たいへんな旅をしてきたらしい。少女は長い間眠ったあと、よろよろと立ち上がり、そして、倒れる。倒れるたびに何回も立ち上がろうとする。
やがてしっかりと自分の足で立つことができるようになり、ゆっくりひとつひとつの動きを確かめるようにしながら、踊り始めた。

すると地面は呼吸しはじめ、少女にエネルギーを送りだした。次々と流れる映画音楽にあわせて、軽やかに、そして力強く、ステップを踏む。
場との交感が終わると、少女は「彼女が雨をつれてきた」という歌にあわせ、世界と会話するように、スイングしながら空き地から旅立っていく。
美術館は、天井が高く、タップシューズで床を打つ音がよく響きわたり、
音の粒子が天界から降ってくるようでした。

WASフォーラム・ショー2006「空き地あります!」ー西東京アクターズスクール的MAPー
「未登記MAPアラカルト/風姫」より抜粋


美術館などで、パフォーマンスを発表する際には、他の作品との関係も作品にとって、とても大事な要素となります。また見る人たちは、パフォーマンスに偶然遭遇する場合が多いので、どこの部分を切り取っても、そこから見れるような構成を心掛けました。

感想をいただいた方から、「世界の調律」という本を教えてもらい、その後の音楽の選び方、作り方について、考えるきっかけにもなりました。


            TRNSFORMATIONシリーズ「ひびきの空き地」  photo:LoveArtPuff 


まだまだはじまり、七転八倒は続きます。

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