初舞台の日
現在、芸歴7年目の僕ですがこんな売れていない芸人でも7年お笑いをやっていると良い意味でも悪い意味でも人前に立つことに慣れてくるもの。
でも今でも忘れないのは人生で初めて人前でネタを披露した日。
人生で一番緊張した日。
是非読んでみて下さい。
僕は、昔からお笑いが好きだった。
中学生の時、学校から帰るとその日放送していたお笑い番組を根こそぎ見て見れない分は録画して見てとにかくお笑いを見まくっていた。
そうやってお笑いを見まくっているうちに
「僕も舞台に立って人を笑わせてみたい」
という思いが芽生えた。
そんな思いを抱えたまま高校に進学し、高二の夏のある日チャンスが訪れた。
"M-1甲子園新潟予選初開催決定"
ネットでこれを見た瞬間、すぐに当時仲が良かった友達に連絡した。
友達も二つ返事で了承してくれてすぐにエントリー。
僕の高二の熱い夏が始まった瞬間だ。
そこから高校生活はめちゃくちゃ楽しかった。
部活終わりにネタ作りしたり、休みの日にお互いの家に行ってネタ作りしたり、休み時間に教室の隅でネタ合わせしたり(今考えるとめちゃくちゃ痛い奴)。
1ヶ月くらいだったけど芸人になれた気分だった。
そして迎えた本番当日、舞台は新潟市内にあるどデカイイオンの特設ステージ。
そのステージを見た瞬間、ワクワクがピークに達して本番前の空き時間でテンション上がり過ぎて訳分からんブランドのダサいジャケットを8000円で買った。
そしていよいよ初舞台が迫る。
出番前に舞台袖に通されお客さんの入りを見た。
座り席満席+大量の立ち見客で埋め尽くされていた。
それを見た瞬間思った。
あ、無理だ。
さっきまで自信満々だった僕らはもう緊張でガッチガチ。
お互い励まし合う余裕もないまま迫る出番。
緊張をほぐす術も知らずガッチガチのまま進行さんに合図され舞台に出た。
「ど、ど、どうも〜!」
この後の2分間は記憶がない。
いや、スベった記憶だけはある。
気が付くとそこには緊張からの解放で抜け殻になった高校生2人がいた。
ネタ終わりの審査員の方の感想
「声が大きくて聞き取りやすかった」
中身全スルーかい。
こうして僕の初舞台幕を閉じた。
僕の手元に残ったのは優勝という称号でもなければウケたという手応えでもない、訳分からんブランドの8000円のダサいジャケットだけだった。
〜fin〜