泣きたい時に読む小説「エターナル・スターダスト Extra」No.5
✨ 前回のお話 ↓ ✨
「えっ」
思わず声が出る。アヤの質問は予想外だった。
照れくささと動揺が胸の奥で渦を巻く。
が、それだけでは済まなかった。
答えなければという衝動にかられる。
ど、どうしたんだ。俺。
ゲーム内のアイテムだろ?なんでリアルの俺がその質問に真実を語ろうとしているんだ。
俺は焦る。ありえないだろ。こんなの。
しかし、『真実のハート』の効果で口から真実が零れ出す。
「好き。アヤが好きだ」
アヤの瞳が見開かれる。
信じられないといった表情だ。
「本当に!?うれしい!リンも私のこと、好きなんだね!?」
「あ、うん...好きだよ」
リンも?ってことはアヤもということか。
まさか両想いだったとは。
驚きがこみ上げてくる。
「じゃあつきあってくれる?」
アヤは待ちきれないといった様子で俺に問いかけてくる。
俺はニートだぞ。付き合うとかそんなことしてていいのか。
そもそもゲームばかりで、俺は本当にいいのか。
でも今なら、このアイテムの力があれば、俺の本心が口から出るはずだ。
いつまでこの効果は続くんだ。
そう思いはしたが、アイテムの効果には逆らえず、俺は答えてしまった。
「ああ、つきあうよ。喜んで」
「よかったー!」
アヤが飛びついてきて、ギュッと抱きしめた。
うれし涙を浮かべている。
想定外の展開に戸惑うが、アヤの熱い気持ちが嬉しくてたまらない。
ゲームながらも胸が熱くなる。
「これからはずっと一緒にいようね」
「うん、約束する」
二人で指切りを交わす。こうしてアヤとの新しい関係が始まったのだった。
そして、サヤカ不在の日々が続く。
アヤと2人でパーティを組んではいるが、サヤカの穴は意外と大きいと感じることもある。
ダンジョンを探索しても、思うように敵を倒せない場面にも遭遇した。
勿論、レベルが上がっているから、それに応じたダンジョンに潜ってるわけだが。
しかし、アヤの攻撃魔法が敵をなぎ払うほどの威力がないのだ。
「サヤカいたら、もう少し楽なんだろうけど...」
アヤはそうつぶやく。
確かにその通りだ。
サヤカ不在の今、パーティの戦力は半減している。
「うん、でもしょうがない。アヤも頑張っているし、俺も頑張るよ」
励まそうとしたが、アヤの表情は明るくならない。
ゲームを楽しみたいのに、現実がそれを阻んでいることへの苛立ちがにじみ出ている。
それならば、現実も仮想も楽しめる方法はないものか。
そう考えた時、俺はひらめいた。
「アヤ。俺とLINE交換しない?そしたら、ゲームの外でも連絡できるし」
アヤの表情がパッと明るくなる。
「いいの?!是非だよ!」
「そしたらいつでもESD話できるね!」
俺たちはIDを交換し、すぐに友達登録をした。
「よかった!これでリンとはゲームの中だけじゃなく、リアルでも繋がれたんだ。嬉しい」
アヤはとても嬉しそうだ。
仮想と現実の垣根を取り払えたことが新鮮なのだろう。
それに気付かせてあげられて、俺も嬉しかった。
しかし、俺はニートなんだがな。
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泣きたい時に読む小説「エターナル・スターダスト Extara」No.6 へ続く…
✨ 続きは ↓ ✨
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