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泣きたい時に読む小説「CALAMITY」vol.9


前回のお話 ↓


俺は父親から渡された古文書の切れ端に目を通していった。

そこには「人化の儀」についての詳細な情報が記されていたのだ。

古文書によると、この「人化の儀」は厄災の巫女を普通の人間へと戻すための儀式だという。

その儀式は街の中心にある神社で、宮司と多くの神職たちによって執り行われる大掛かりなものらしい。

しかし、この儀式を行うには巫女の血縁者を生贄に捧げることが必要不可欠だと書いてあった。

血縁者の犠牲がなければ、巫女は人間へと変わることができない。

俺はその内容に胸を痛めた。

そしてそれと同時に、雪奈を救う希望の光も見出だしたのだった。

俺は窓の外を見ながら、今までの人生を振り返っていた。

俺のこれまでの人生はずっと空っぽで、満たされることのない日々が続いていた。

10歳のころから孤児院で育ち、里親には恵まれたが本当の家族ではない。

唯一の救いは、孤児院に預けられたときに持たされた一枚の写真。

そこには自分と、名前も分からない妹が写っている。

記憶がないにも関わらず、はっきりとそれが妹であることがわかっていた。

そんな抜け殻のような人生を送ってきた俺にとって、この家族との出会いはあまりに突然だった。

今になって思えば、両親や妹と触れ合い、楽しい日常を過ごせる喜びを噛みしめることができていたのだ。

これ以上の幸せはない。俺の人生で最高の瞬間だった。

「...もういいだろう」

「...十分に幸せな日々をもらった...」

途方に暮れながら妹と自分の記憶を探す日々。それがやっと終わったのだ。

自分の額を掴むように手をあて、その手に頭の重さをゆだねる。

俺の命と引き換えに、妹である雪奈を救えるなら、それでいい。

空っぽだった俺の存在に、やっと意味を見出すことができる。

構わない。この命を捧げてでも。雪奈、お前を救うことができるなら。

俺は意を決したように鋭い表情で顔を上げ、両親に言った。

「父さん、母さん」

そう俺が言った瞬間、両親の目には涙が浮かぶ。

それが初めて本当の親を呼んだ瞬間だった。

この人たちは、俺が自分たちの息子だと知っていたんだ。

だからこそ、どこの馬の骨かも分からない俺を居候させてくれたんだ。

俺は言葉を続けた。

「俺が妹を救う」

俺は真剣な眼差しで告げた。

救うとはつまり、俺の命と引き換えに雪奈を救うということだ。

その意味を察した母親が声を漏らす。

「だ、だめよ...」

「...そんなの、あなただけが救われないじゃない...」

しかし、俺はそれを遮るように言葉を続けた。

「救われたさ。こうして家族のぬくもりを知ることができた」

「やっと探し求めていたものを得ることができた」

「きっと俺はこのために、ここへ戻ってきたんだ」

厄災。

きっと、俺がこの地に居ることで、厄災が起こるわけじゃないんだと思った。

少しでも感情を切り離し、少しでも悲しまないように、そのために俺はこの家族から遠ざけられたんだ。

両親は言葉を失う。

「両親にも妹にも恵まれない人生を送ってきた」

「でも今、運命が俺をここに導いたんだ。妹を救うことが、俺の使命だとわかったんだ」

母親は堰を切ったかのように大きな声を上げて泣き出す。

父親もまた例外ではなかった。

その後、俺は両親に対し、このことを雪奈には言わないで欲しいと釘を刺した。



泣きたい時に読む小説「CALAMITY」vol.10
第6章 人化ノ儀 へ続く…

続きは ↓


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