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【読書感想】幸福(しあわせ)の構造 / 島井哲志【その①】

題名:幸福(しあわせ)の構造
作者:島井哲志


■気力の変化※読み終えて気分がどのくらい高揚したかの個人的指標(1~100)

読前気力「50」
読後気力「68」


■読後の一言

最近読んだ本の中で、最も読んでよかったと思える本でした。
個人的に、小説以外で面白いと思える本は以下の2通りあります。

①文章が面白くて分かりやすい
②的確に知りたい情報が得られる

この本は、②の的確に知りたい情報が得られる点でとても満足しました。
それは、各章ごとに研究結果が紹介されていて、どういう場合に幸福を感じること
が多いのかが分かるようになっているからです。

幸福は主観的なものではありますが、みんなに共通する幸福もあることに気づかせてくれる、大変良い本でした。


■誰かに勧めるなら

・幸福とは何なのか知りたい人
・「幸せになるには」というまとめサイトばかり見てしまう人


■3つのポイント

①幸福な人は自己評価を下げない
②幸福な人は記憶の解釈がポジティブ
③幸福な人は未来を楽観的に考える


①幸福な人は自己評価を下げない

幸福な人は、揺るがない自信を持っていて、周囲の状態に振り回されることがなく、自分の価値観や意見をしっかり持っているイメージがあります。

幸福な人と幸福でない人が、他人の優れた成績情報を観た時の、自己評価への影響が研究されています。
結果は以下の通り。

・幸福でない学生は、他の人が自分より成績が良いと知ると、自己評価が下がる
・幸福な学生は、他の人が自分より成績が良いと知っても、自己評価にほとんど影響がない

つまり、幸福な人は、自分と他人を比較した情報を受け止めて、それを適切に処理していることが分かりました。

別の研究では、自分が進学する大学および不合格になった大学への評価の変化を調べています。
そこでの結果は以下の通り。

・幸福でない学生は、不合格となった大学に限らず、進学する大学の評価も低下させた
・幸福な学生は、進学する大学の評価は上がったが、不合格となった大学の評価は低下させた

つまり、幸福な人は、自分の置かれている状況を、良いものとして評価していることが分かりました。

他にもさまざまな研究結果が紹介されているが、まとめると幸福な人は以下のような傾向があります。

幸福な人は、社会的比較に対して、あまり敏感ではなく、特に、自分よりも周囲のほうが優れていると評価されることの影響を受けにくい

p.46

幸福な人は、周りとの比較はします。
しかし、その比較で自分を下げるのではなく、肯定的に捉えているみたいです。


②幸福な人は記憶の解釈がポジティブ

初めにショックかもしれないお知らせがあります。
それは、幸福感は遺伝によって50%決まっているということです。
これは、その人の性格や気質によって楽観的か悲観的かがある程度決まってしまうためになります。
しかし、残りの50%は決まっていません。
そして、これは自分の過去の解釈によって幸福になれる可能性があることを示しています。

過去の出来事によって現在の自分があると多くの人が考えるかもしれません。
これを「自伝的推論」といいます。
一般的に、20~25歳あたりでバンプと呼ばれる出来事の山があります。
例えば入学や卒業、就職そして結婚など、人生にとって大きなイベントのことです。
この時期にたくさんのことを体験するため、記憶の数も多くなります。

人生の重大な出来事について、それによって成長したと感じ、それに自分自身が大きく関与していると考えると、それが人生の意義に結びつき、幸福度につながります。
ポジティブな出来事は、時間が経つにつれて自分にとって大きな意味があったと理解が深まります。
反対に、ネガティブな出来事は、時間が経つにつれて影響力が薄れていきます。

その為、先ほど述べたバンプと呼ばれる時期に経験した出来事を、ポジティブに再解釈することが望ましくなります。


人生の出来事のうちのポジティブになりうる出来事について、どのように解釈しているのかが、幸福にかなり強い影響を与えていると推測される

p.143

③幸福な人は未来を楽観的に考える

楽観的とは、自分が何の努力をしなくても良い結果が起きると期待することではありません。
いろいろな出来事を自分が起こすことができると考える、つまり、自分の役割を大きく見積もることをいいます。

こうした考えの人は、まだ決まっていない未来について以下のように考えます。

①どのような将来が良いか、何が望ましいかを明確に把握する
②その実現に至るプロセスを現実的かつ柔軟に思い描く
③自分が積極的に関与して、それが実現できると期待する

大切なのは、目標を描き、その道を進んでいく強い動機付けを持つことです。

自分が自分にとっての未来を幸福へと変化させることができるという実感であり、端的に言えば自己効力感である

p.181

■執筆後の感想

幸福になるにはどうすればよいか。
「すべての出来事をポジティブに捉える」ことが大切だとなんとなく思う。
この本を読むと、どうすれば幸福になれるかが学べます。
実際、書かれている内容を実践すれば、幸福になれそうな気がします。

しかし、それができないから思い悩む。

下がりに下がりきった自己否定感は、ポジティブに対してアレルギー反応を起こす。
例えば、自分の笑った顔。
思い起こすだけで嫌悪感に襲われる。

こうした病的な自己否定感は、幸福に関する本を読むよりも、カウンセリングを受けた方が良いのだと思う。
それでも、「こうすれば幸福になれるのか」と本を読んで理解していく過程は、自分にとって幸せな瞬間だと思う。

ポケモンで言えば、毒状態。
毒状態を直さずに、キズくすりで下がったHPを回復する行為をずっと続けている感じ。
幸福になるには、まずは毒を治さないとダメだ。
でも、この毒は治らないらしい。完治しない病気らしい。

だったら、この本で学んだことを実践して、すこしでも気分がいい日に過去を再解釈するしかないか。

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