江戸のカタキと長崎と
「江戸のカタキを長崎で討とうとするな」と、私は常々主張している。
その相手が本当にカタキなら、「ここで会ったが百年目!」となっても、「どうぞご存分に」と刀を差し出すところなのだが、大体は単にちょっとばかりカタキと似た「属性」の人でしかないからだ。
その属性というのも、性別・世代・収入の多寡・パートナーの有無くらいの雑なくくりである。下手するとカタキとの共通点は「日本語を喋る」というだけだったりする。
それで「此間の遺恨覚えたるか」と松の廊下を演じられたらたまったものではない。