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台北で見つけたレコード店と80年代台湾ミュージック

 最近、台北のレコード屋巡りをしています。私は平成生まれなんですが、90年代前半、80年代邦楽ミュージックが好きで好んで聴いています。
 最近できた台湾人のお友達も音楽が大好きで、レコード屋さんによく連れてってもらっています。台湾の80年代ミュージックがどんなのものなのか興味深々の私が、知ったアーティストを共有しつつ、台北のレコードショップを紹介します。

 余談ですが、最近お笑い芸人のカミナリさんのYouTubeをたくさん見ており、DTMとかサンプリング、ビートメイクって言葉を知りました。ビートメイクがご趣味の方、日本のレコードショップでディグって、中々無いであろうTAIWAN Musicを旅行の合間に探すのも如何でしょうか。


1980年代の台湾について

 80年代前半の台湾はまだ民主化前、戒厳令下にある状況でした。経済発展とともに民主化への動きが強まった時代です。(後に87年に戒厳令は解除)経済成長を遂げた台湾は、都市化と生活水準が上がり、音楽市場も活性化したそうです。そのためレコード会社やラジオ局が増加。70年代に香港を中心似広がった華語ポップスの影響をうけ、台湾でも大きく影響を受けます。

校園民歌運動の影響

 80年代初頭、社会的変化とともに多様性を増し、ポップスの黄金期を迎えます。校園民歌運動(キャンパスフォーク運動)という、1970年代後半から1980年代初頭にかけて台湾の大学生を中心に広まった音楽運動です。戒厳令下の台湾で、若者たちが西洋音楽や商業音楽から脱却し、自分たちの言語や文化を表現する音楽を模索しはじめます。アコースティックギターを主体に、青春や郷愁、自然をテーマにした詩的な歌詞が特徴で、代表曲として李建復の「龍的傳人」や施孝榮の「月琴」が挙げられます。この運動は台湾ポップスの礎を築き、台湾音楽のアイデンティティ形成に大きな影響を与えました。

台湾ポップスの黄金期(1980年代半ば以降)

 そして80年代半ばから、台湾の音楽産業は急速に成長し、ポップスが黄金期を迎えます。香港やアメリカの影響を受けつつ、台湾独自の音楽スタイルが確立され、多くのスターが誕生しました。この時代、日本でも有名な鄧麗君(テレサ・テン)は「甜蜜蜜」などのヒット曲でアジア全域で絶大な人気を博します。華語ポップスのアイコンとなりました。また、羅大佑(Luo Dayou)は「鹿港小鎮」など社会的テーマを扱った楽曲で注目され、「音楽の詩人」と称されました。蔡琴(Tsai Chin)は感情豊かな低音で人々を魅了し、バラードの名曲を数多く残しました。台湾ポップスはこの時代、アジア全域に広がり、台湾の文化的影響力を高めると同時に、華語音楽の発展を牽引する存在となりました。

台湾語音楽の再評価

 戒厳令時代(1949〜1987年)、台湾語文化は中国国民党政府による標準中国語(国語)推進政策の影響で抑圧されていました。しかし1980年代に入り、民主化の進展とともに台湾独自の文化への関心が高まり、台湾語音楽が再び注目を集めます。台語流行音楽は、伝統的な台湾語の民謡や歌仔戲(台湾の伝統歌劇)の要素を取り入れ、庶民の生活や感情を歌う親しみやすい内容が特徴です。戒厳令解除後、台湾語を用いた歌が自由に制作・発表されるようになり、洪一峰や江蕙といったアーティストが台語音楽を新たな形で広めていきます。この流れは、台湾独自のアイデンティティを強調し、台湾文化の復興を象徴する重要な要素となりました。

台湾ミュージックレコードが売っていたお店

先行一車 Senko Issha Records

 先行一車は、2014年に設立された台北市大安区泰順街12号に位置するレコードショップです。店名は、日本の伝説的なミュージシャンである友川かずきの楽曲「先行一車」に由来しているそうです。この店舗は、ハーシュノイズ、実験音楽、日本のサイケデリックロックなど、特定の音楽ジャンルに焦点を当てています。主に西洋、邦楽レコードが多いですが、古い台湾レコードも若干扱っていました。
 また営業時間は15:00から21:00までで、火曜日と水曜日は定休日となっています。店内では、レコードの試聴や購入だけでなく、軽食やドリンクの提供も行っており、音楽を楽しみながらリラックスできる空間が提供されています。

愛樂唱片(La Musique)

 愛樂唱片は、台北市中正区に位置する音楽愛好家のための専門店です。主に中古のCDやレコードを取り扱っており、ジャンルや年代を問わず、多彩な音楽コレクションを提供しています。特に、絶版やレアなアイテムを探す音楽ファンにとって、貴重な発見の場となっているようです。広いエリアに販売前?と思われるものも、たくさん置いてあり宝探しを楽しめます。台湾音楽のレコード、カセットテープもたくさんありました。美容室店内を通って3階に上がるので、ちょっと不思議な体験です。

 戒厳令下の中で生まれた校園民歌運動や、ポップスの黄金期に輝いたアーティストたちの音楽は、台湾の歴史や文化を深く理解する手がかりになるかもしれません。さらに、先行一車や愛樂唱片のような個性的なレコードショップは、音楽の宝探しを楽しむだけでなく、台湾独自の音楽文化を堪能できる場所です。音楽好きな方はぜひ台北を訪れ、レコードショップで台湾の音楽文化をディグしてみてください。

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