「フローラとマックス」を見た(ネタバレあり)
出会いは最悪
冒頭に最悪のイメージを与えておいて、最後には見事に回復していく、非常に爽快感のある映画だった。
初めて会ったときはあまり印象が良くなかった異性が、何度か会ったり喋ったりしているうちに、少しずつ印象が変わって、最終的に好きになっていると言う経験はあるだろうか?
この映画の主人公フローラには、そんな思い出を思い起こさせられた。
最終的には彼女を応援したくなる
映画の始まりから、彼女の印象は最悪だった。いきなり、バーであった男とワンナイト(しかも、最初に声をかけられた時は、「お前とはないな!」と断った相手とだ)。そんなワイルドな活動をしている彼女にはかなりの年の子供がいる。
にもかかわらず、仕事はベビーシッターと子供を育てるにはかなり不安定。
それでも、17歳で息子を産んでから必死に子育てを行っているにもかかわらず、夫が出ていってしまい母子家庭の状態。さらに息子は素行が悪く何度も補導されたため、次に補導されると矯正施設に入れられると警察に言われている状態。そんな彼女に、多少は同情の余地もかるかも?と思うも、最初の印象が悪すぎてそう簡単には、イメージは覆らない。
ところが、自分の息子の担当日にプレゼントとして手に入れたギターをきっかけに、オンラインで音楽を習い始めるが、ここでもいきなり先生にシャツ脱いでギター弾けというなど、かなり精神的に錯乱した発言をして、先生に回線をブチ切られるという愚をおかしたりするが、音楽を通じて、息子と一緒に音楽を作ったり、先生が昔作った曲に生意気にもアドバイスしたりすることで、母親らしい一面を見せたり、まともな女性としてのイメージを見せたりし始める。
この辺りで、ごく僅かであるが、おや?という思いを案じ始める。
そして、先生の昔作曲した曲のバージョンアップが完成した際に、二人で一緒に演奏するシーンになると、まるで冒頭の荒くれぶりが全く消えてしまい、瞳キラキラの乙女のようなフローラになっているのである。このシーンの彼女を見て、彼女を応援する側にならない人はいないのではないだろうか。自分は、この時点で100%フローラ派になってしまった。
さらには、最終的には先生に会いにロス・アンジェルスに行くことを諦め、息子とともに生きていくことを決めたフローラに対し、完全にハマってしまうのだ。
オーソドックスな展開だがうまく表現されている
話の持っていき方としては、かなりオーソドックスな手法かもしれないが、前編を通じて、レッスンであったり、息子との音楽創作であったり、といった音楽に触れるイベントを経ることで変わっていく彼女を、巧みに表現することに成功している。