「ゲット・アウト」を見た(ネタバレあり)
アフリカ系アメリカ人の青年が、白人の彼女の実家を訪れることにより、恐怖の体験に巻き込まれるというホラー系の話だ。
話の流れは良かったが、後半に工夫が欲しかった
序盤は、主人公がアフリカ系の彼氏をいきなり連れていくことに多少の心配をする所から始まり、彼女の実家が白人家族でアフリカ系の人を家事や庭師仕事をするのに雇っているという典型的な田舎の村という設定で始まる。
この設定の中で、家事と庭仕事をやっているアフリカ系アメリカ人の人たちの主人公に対する微妙な反応を皮切りに、じわじわと違和感を滲ませてくる演出はなかなか良いと感じた。
途中で、彼女の母親が主人公に催眠術をかけるところも、後半に向けての伏線としてもよかったように思う。
ただ、後半彼女の家族をはじめとした、村全体の陰謀が明らかになったところが、クライマックスになってしまっており、その後最終的に主人公が逃げるところまではもう少し捻りが欲しかったところだ。
特に、主人公が比較的容易に逃げ出すことができてしまった所も気になった。確かに弟との格闘シーンや、祖父母の絡みもあったにはあった。フラッシュ使用したシーンも、伏線を含めよく仕込んであったとは思うが、もう少し主人公が捕まってからも、恐怖体験のシーンがあっても良かったように思う。
全体的に、矛盾が生じないように作ろうとしてストーリーに冒険が少なかったような印象を受けた。
理屈がよくわからなかった
この作品の一つのポイントにもなる所だが、脳の移植により人を入れ替えるというプロットは、使い古されたものだが、移植される本人の意識を潜在レベルで残す意味がなぜあったのかという部分が隙一つわからなかった。おそらくこれがないと、フラッシュのギミックも成り立たなかったであろうし、主人公が催眠術にかかる部分も不要になってしまうので、ストーリーがすっきりし過ぎてしまうかもしれないが、全体的にそれほど不自然にはならなかっただろう。
友人がもう少し活躍して欲しかった
不思議だったのは、友人の立ち位置だ。主人公とメッセージのやり取りをしていて、連絡が途絶えた後も、警察に行って捜査依頼をしに行ったり、あれこれ動いていたので、最終的に主人公が絶体絶命の時に危機を救うという展開を期待していたのだが、結局主人公を迎えに行っただけに終わっていた。
この辺り、後半で主人公をもっと窮地に追い込んでいく流れにして、友人をもっと話に絡ませていく展開にしていけば、もっと見せ場を作ることができたのではないかと感じた。
せっかく、キャラクターとしても魅力的だったので、賑やかしで終わってしまったのがとてももったいないと感じた。