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【#8】まずは不完全な自分・ありのままの自分を認め受け入れる。

約1ヶ月の入院で、
出された病院食は全て完食し
食事が美味しい!!
と楽しみに食べれるようになっていた。
そして命の危険の心配はなくなった。
しかしその後、カロリーを一気に上げて
体重増加を図るためか、
病院食はコテコテの油物が増え始めた。

元々我が家は、
煮炊き物・蒸し物がメインの和食派。
だから娘にとっては
コテコテの病院食が全く楽しめなくなり、
食事が義務的で作業になり始めていた。

そして、悪いものを食べてしまった!
というイライラから、何度もトイレで、
吐きたい衝動に駆られてしまうまでになった。

泣きながら私に、
吐きたくなる衝動を止めて欲しい!と
電話してくるようになった。

そこて、担当医に相談するも、
「マニュアル通りのメニューだから
我慢して食べて下さい」
とのことであった。

それがきっかけで、退院を決意した。

理由は、、
体重を増やすために身体に合わない食事を
吐きたい衝動と戦いながら、
ストレスいっぱいで摂取するくらいなら、

食べたいと思う美味しいものを
存分に食べながら
心の健康を保ちながら体重を増やしたい
という覚悟を決めた娘の思いを尊重したから。

退院後は、食事に対する不安
(一人暮らしを復活させて、
自分で食事管理をすることに自信がない)
があったため、大学は休学することにした。

そして娘が拒食症に至った
食事に対する気持ちと行動を振り返りながら、今後、食事とどう向き合って
改善していくかを話し合った。


■娘がコツコツ作り上げた分厚いガラスの壁

娘が語ってくれた拒食症に至るまでの状況は次のとおり。

ネットに溢れかえっている
ダイエット情報に振り回され、
元々好きだった食べ物であっても
糖質や脂質が多いものは
極力食べないようになった。

初めのうちは
「制限しすぎる必要はない、たまには食べて良い」
と気軽に捉えていたが

次第に
「あっさりしている食材以外は全て悪」
と考えるようになり、

気付けば、
“自分へのご褒美として好きなものを食べる”
という行為ができなくなった。

「レポート頑張ったし今日は大福買って帰るぞ!」
と意気込んで買い物に行っても
いざ陳列されている大福を目の前にすると
「これを食べたら太ってしまう」と
怖くて手を伸ばすことができない。
そんな自分にうんざりしながらも結局、

「スーパーのお菓子なんか美味しくないし、買うだけお金の無駄遣い」と
都合の良い言い訳をして何も買わずに帰ってしまうようになった。

正直な食べたい気持ちは湧き出てくるので
一時的な葛藤はある。

でも、食欲は悪だ!と
自分の頭の中に刷り込んでいたので、
買わない、食べないという選択をした時点での
自分の気持ちに後悔は全くなかった。

むしろ、今回も我慢できた!
ということが達成感となり、
達成した先に太らずに済むという結果がある
と思うことが安心感となって心を満たしてくれているようだった。

本当は食べたいのに怖くて食べられない。
そんな状態になっている自分にイライラする。
いつまでこんな我慢ばかりの生活を続けるのか。
何とかこの状態から脱したい。

と思っても、太る恐怖の方が圧倒的に強く行動に移せなかった。

インスタやYouTubeで美味しそうな料理の写真や動画を見ては、

「美味しそう、食べたい。」

と思うものの、
自分では食べることができず、
ただただ唾を飲み込んで、
写真や動画を見続けることしかできない。

“食欲に従って自分がその時食べたいと思うものを食べる”

という簡単なことが
全くできなくなった自分の目の前には
他人には見えない自分だけの、
分厚いガラスの壁ができていた。

■ガラスの壁を打ち壊すには・・・

上記の娘が語ってくれた内容を見ると
食べたくても我慢をして食べない選択をすることが、
娘にとっては精神安定剤であり自分の価値になっていたように思える。

そんな我慢の達成感や安心感
ガラスのブロックで
それをどんどん積み重ねることで
大きな分厚いガラスの壁が
出来上がってしまった。

ガラスの壁の向こうでは、
美味しそうに食事をする人がいる。
歪んだ理性でガチガチに固められた表面上にはほとんど出てこないけど、

心の奥底では本能が
「自分もそこに行きたい!そこに行って美味しく食べたい!」
と叫んでいる。

本能に従ったほうが人生楽しいに決まってる。
だから変わりたい。

しかしそこに行くには、
自分が作った大きなガラスの壁を
打ち壊さなければならない。

打ち壊すには大きなエネルギーが必要。
それは今までの娘自身を全否定することにも繋がる。

それはとてもじゃないけど好ましくないと思った。

■不完全な自分を認め受け入れありのままでOK

だからまずは、
今までのガラスの壁を作ってしまった自分を
丸ごとありのままで、娘自身が受け入れ認める必要があった。

拒食症になったことは決して悪いことではない。
太りたくない思いは自然なこと。
誰だって、見た目は気にする。
自分の理想に近づけたい。
だからダイエットしたことは悪いことではない。
しかし行動が行きすぎてしまったから拒食症になってしまった。
まさか拒食症になるなんて想像もしなかったんだから仕方ない。
今回たまたまそうなっただけ。

このような過程も人生に必要だった経験の一部。
経験しなきゃ分からなかったこと。
逆に経験したからこそ、その辛さが誰よりもわかる。
誰よりも自分自身の内側と深く向き合い
自分自身を深く知る大切な経験をしている
と・・・

そして今は食事ができる
全く食べることができず死と隣り合わせでいた入院前に比べて、
今は命の危険はなく美味しく食べられてる。

それは大きな進歩!
娘自身が自分をヨシヨシして褒めてあげるべきことだ!
よくやった私!
やっぱり私ってすごい!
と、自分を褒めてあげるべし。

時間はかかるだろうけど、
生理が戻って健康体と言えるようになれば
ガラスの壁は自然に消えているはず。
当然のことではあるが・・。

私が何より1番に大切にしたいのは、
置かれた状況や外的要因がどうであれ
娘自身がどう感じているか。

だからまずは、娘自身が
不完全な自分を受け入れて、
不必要に自分を責めることなく
ありのままを認めて受け入れる。


そして精神的な健康を実現するため
常に追い求める努力維持していく努力
していけば良いと思う

人は体験からしか学べない生き物だから、
体験しながら軌道修正していけば良い。

これが、娘との話し合いで出した、
日々の基本的な在り方の一つ。

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