絵を描くことと政治活動は私の中では共通しています(江口ともこさんインタビュー①)
江口ともこさんは、画家であり、また20年にわたって平塚市議会議員としても活躍されています。とても透明感がありながら、柔らかな芯の強さも感じさせる、素敵な女性リーダーです。
私が「アート活動を本業に生かす」をテーマに、お話を聞いてみたいと思ったきっかけは、平塚で開かれた江口さんの個展での、ギャラリートークの一言。「絵を描くことと政治活動は、私の中で共通しているんです」
「え、絵と政治が!?一体どういうこと?」と、もっとその真意を知りたくて、インタビューさせていただきました(全3回)
【2023年5月1日追記】
江口さんは2023年4月の平塚市議会議員選挙で当選し、6期目の議員活動をスタートされました。
今回の選挙活動では、「平塚の宝!ウミガメのくるまちを守ろう!」を合言葉に、ご自身でデザイン・ペイントされたウミガメのキャラクター「うみみん」と一緒に選挙区を回られました。
行く先々で子供たちに声をかけられたり、うみみんカーに乗ってみたいという人がいらっしゃったりと、大人気だったようです。
画家でもあるご自身らしさを大切にして、議員活動をされている江口さんをこれからも応援しています。
(追記ここまで、以下本文)
政治はクリエイティブなもの
「政治活動は本来ゼロから創っていくことなので、クリエイティブであることが重要だと思っています。絵を描き始めるときも、最初の1歩を踏み出すことが必要ですが、政治でも、誰も創っていない道を1歩踏み出すことが必要なんです。
常に変化する社会の中で、街の皆さんのお話を聞きながら、自分がそこにどういう線を引けるか、引くことでどういう世界が見えるか、どういう人が恩恵を受けるかを考えます」
政策立案を1本の線に例えているところが興味深いです。江口さんには本当にそのように見えているんでしょうね。
「自分の納得」と「社会の納得」の接点を探る
「例えば、花の絵を描くとき、まず自分は花のどこに惹かれているのか?色合いなのか?花びらと葉のコントラストなのか?被写体をよく観察して、そのまま描くのではなく、一旦自分の中に取り込んで、何を描こうとしているのか、自問自答しながら表現していきます。
それと同時に、描いた絵が見る人に受け取ってもらえるものだろうか、とチェックしている視点もあります。表現したいものと、受け取ってもらえるものの接点、つまり最終的なゴール(焦点)をその絵の中で見つけられるか、をいつも探っています。」
「政治も同じで、何か困っていることが街の中に起きたら、よく話を聞いて、観察して、自分なりにどこに核心があるかを探っていきます。その上で、この制度を使えばこういうふうになるから、やってみたらどうだろう?という仮説を立てます。
そして、本当にそれでいいのか?『自分が納得すること』と『社会の人たちが納得してくれること』の接点を形にしようと活動しています。これが私の考える創造性です」
これはビジネスやアート、いろんなことに共通する本質だと思います。個人の思いから生まれるアイデア・表現と、社会的なニーズや妥当性が重なるところ、そこに価値が生まれるのですね。
既存の線をなぞるのではなく、オリジナルの線を
「例えば、私のあじさいの絵は、決して図鑑のようにはなりません。それと同じで、既存の制度やフォーマットに合わせて活動すると、かっこいいかも知れないけど、誰かが引いた線をなぞることになってしまう。そうしなくても自分のオリジナルでいいんだ、ということを絵が教えてくれます」
なるほど、私も人の評価を気にし過ぎて、自分の主体性やオリジナリティが薄くなってしまったな、と思うことが時々あります。このバランスを取るのはとても難しいのですが、アート活動がその良いトレーニングになってくれるというのは、深く共感するところです。
その②「誰でも1本の線から始められる」に続きます。
※写真はすべて江口さん提供。プライバシーに配慮して、一部加工しています。