人の事を考えている時間が長い人は
映画「ベニスに死す」(ルキノ・ヴィスコンティ監督、71年)で美少年役を演じた俳優ビョルン・アンドレセン。「ベルばら」の主人公、オスカルのモデルであったと作者の池田理代子さんが語っています。
その彼の衝撃の真実を描いたドキュメンタリー映画「世界で一番美しい少年」が公開されます。ビョルンの栄光、知られざる悲劇とこころの再生。
ビョルン・アンドレセンは愛着障害でした。
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愛着障害について書いています。
8日目は、愛着障害の人は「他人の事に巻き込まれて、自分のことは何もできない」という事についてお話します。
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悲しい映画です。
「ベニスに死す」は、30年ぐらい前に大阪の名画館で観たことがあります。あの美しいビョルンが、こんな悲劇を抱えているとは知りませんでした。彼はなんと、生まれてすぐ両親を失い、祖母に売られるかたちで映画界に入り、大人たちに性的に搾取されて育ったと、ドキュメンタリー映画のなかで告白してるんです。
その後の人生も、愛を求めては失い、アルコール依存症と戦いながら細々と続けてきたそうです。
私は、彼の周りの大人たちに対して怒りを禁じえません。この告白によって、何十年と重くのしかかっていた家族の業からビョルンが解き放たれることを祈りたいです。
ビョルン・アンドレセン 「ベニスに死す」より
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愛着障害の人は、自分が何者かが分かりません。
子どもは、親の愛という鏡に映る自分の姿をみて、自分は愛される存在なのだということを知ります。
ところが、お母さんに愛をもらえなかった子どもは自分のことを正しく捉えることができません。価値ある存在だと思えなくなります。
自分は何者か、どんな価値があるのか分かりません。木枯らしに舞う枯葉のように、寄る辺ない存在のように感じます。
母子の愛着の絆を結ぶことができるのは、生後半年から一年半のあいだです。お母さんにギュッと抱っこされることによって、子どもは生涯にわたって安心して暮らせるようになります。
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愛着障害の人は、人の事に巻き込まれて、自分のことが何もできなくなります。
人生に絶えないトラブルを抱えることになります。
いつも受け身で、自分がなくて、被害者で、主体性がありません。
人の犠牲になったり、搾取されたり、女性の場合はパートナーから暴力を振るわれることもあります。
自尊心が低くて、自分の人生を生きられません。
見捨てられ不安がつよくて、相手に迎合してしまう傾向があります。
不当なことを要求したり、自分のことを都合よく利用しようとしている相手に対しても、強く拒むことができません。
NOが言えないのは、愛を求めているからです。どんな相手でも、求められないより、求められたほうが嬉しいからです。
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愛着障害の人は、自尊心を取り戻し、自分と他の人とのあいだに境界線をひいて自分を守りましょう。
ドイツの心理療法家、フレデリック・パールズの詩は、勇気をくれます。
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ゲシュタルトの祈り
私は私のために生き、あなたはあなたのために生きる
私はあなたの期待に答えるためにこの世に在るのではない。
そしてあなたも、私の期待に答えるためにこの世に在るのではない。
私は私。あなたはあなた。
もしも縁があって、私たちが出会えたのならそれは素晴らしいこと。
たとえ出会えなくても、それもまた同じように素晴らしいことだ。
フレデリック・パールズ
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