幸せな記憶
今年81歳になる母ですが、昨年の正月あたりから物忘れが気になるようになりました。
話しておいたことを忘れてたり、一緒にしたことを覚えていなかったり…
不安になったのですが、コロナ禍で会うことをやめていたら、やはり一気に進んでしまいました。不思議なことに長年していること、例えば買い物や通院、振り込みなどは忘れずに出来るのです。だけど10分前の会話を忘れてしまいます。
そんな母ですが、最近のことを忘れる代わりに自分の若い頃の話をよくするようになりました。
小さい頃の戦争の記憶。学生の頃の部活の話。結婚前に付き合っていた人の話…
もうすぐ東京オリンピックが始まりますが、オリンピックの話が出ると必ず前回の東京オリンピックの話になります。その時母は新婚で、私がお腹の中にいました。母と父はどこかの国のサッカーの試合を見に行ったそうです。
「チケットは新橋のチケット売り場で買ったのよ。今みたいにインターネットとかないからね。仕事の合間に買いに行ったのよ」
さっきのことは全然覚えていないのに57年前のことはよーく覚えています。
母にとっては楽しい幸せな記憶なのかもしれないですね。残念ながら私が生れてからのことはほとんど話に出ませんが。
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