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小説#3 さすらい猫の旅-四葉のクローバー-

「うーん、ないなぁ…」

「ひよ?」

「あー。何がないかって?四つ葉のクローバーを探してるんだ。この葉っぱは大体が三つ葉なんだけど、たまに四つ葉があってね。
 それを幸せのクローバーというんだよ。」


じーさんが庭に生えているのを見つけては、
幸せになれよ
って言いながら、くれたんだよな。

「まぁいいさ。ないときはないんだよ。」

その場をあとにし
ひよも何を言うでもなく、黙ったままついてきた。

「さぁ、昼寝の時間だ。」

心地よい穴倉をみつけて、そこで休憩をとることにした。
最近はめっきり熱くなってしまって
ずっと動き続けるようなことはしない。

  ・
  ・
  ・

「ふぁ…よく寝たな…、あれ。ひよ?」

いつもそばで寝ているはずのひよがいない。


オレとしたことが…天敵に気づかずに寝てしまったのか?

...もしかして食べられたとか!?




「ひよ!!」

「うわぁ!!」
穴をでようとした途端、顔の前にひよが現れた。

「…驚いた」

いたずらそうな顔をしてにこにこと笑ったひよがいた。
こちらは心配したのに、その顔を見たら怒るに怒れない。

すると、まるでついてきてほしそうにちょこちょこと動く。

「なんだ?」

促されるがまま、ひよについていくと
一本の木の前で見上げたまま止まった。

「そこに登るのか?」

「ひよ!」

元気よく返事がきた。
いったい何をするつもりなのか…

「…よっと。ほら。登ったよ」
「一体どうして…」

そこまで言ってそのあとの言葉は続かなかった。
いや、続けなくてもわかった というべきか。

木の上から崖の下がみえ、ちょうどそこには
葉っぱを集めて作ってある四つ葉のクローバーがあったんだ。


「ひよ!これ、キミがつくったのかい!?」

「ひよ!」

嬉しそうに羽をばたばたさせながら答えた。
あぁ、思った以上にオレはへこんでたのかもしれない。
きっとそれを見て、葉っぱをかき集めた四つ葉のクローバーを作ってくれたのだろう。

「ありがとう」

お礼を言うと、ひよは2,3度羽ばたかせた。

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