伝説のこどもたち ちえちゃん 2 仕事ってなんだろ?
3時間のうどん屋さんのバイトが週2日、そして内職と結構いそがしいのではないかとおもうのですが、卒業を前にしたちえちゃんは、「まだ足りない。もっと仕事がしたい」といいはじめました。おかあさんが日頃口にしている自立のために必要なお金を貯めているのかもしれません。とても可愛い子なのですが、特におしゃれや趣味にお金を使うこともありません。
お母さんは、まずハローワークに行きました。ちえちゃんの空いている時間は朝と夕方です。そこで、2時間ほどの時間を働きたいというのです。うどん屋さんに間に合わなければならないのですから。障害者雇用でその時間の求人をしているところをお尋ねしたのですが、そう言うのはないですねと、あっさりといわれたそうです。また、話ができないので面接とか最初の電話をおかあさんがするということに抵抗のある職場ばかりでした。「なぜおかあさんがするのですか?」といわれるのだそうです。喋れないといってるのに。しかたなく障害者職業センターというところを紹介していただきました。
障害者職業センターでは、説明を受けて障害のある人たちが実習する(ピッキングとか清掃とかパソコンとか)場所も見せてもらいました。それは、就労移行支援事業所で見せてもらったこととほぼ同じでした。でも、ちえちゃんが求めているのは、それじゃないんです。実習とか、練習とかではないんです。
そして、見つけたのがアルバイト情報誌の中でした。朝の2時間、ビルの清掃です。おかあさんが電話して「障害のある娘が働きたいといっています。大丈夫ですか?」と尋ねたところ、「いいですよ」といわれたそうです。「喋れないのですが」とつたえても、「いや、むしろ話をしなくてもいいから」といわれました。最初の説明は、社長さん自ら行ってくださることになってましたが、その場にちえちゃんは、おかあさんなしで1人で出かけていきました。説明を理解して、週5日そこで働いているそうです。事務所なので、清掃の途中に職員さんが出勤して来られます。そこに、挨拶は必要ないのでしょう。
「すごいね、ちえちゃん」というわたしに、「夕方が空いている、掃除とかではなくて別の仕事がしたい。」と、ちえちゃんがいうんですと、おかあさんは、嬉しいような、しんどいような、複雑な顔でわたしに答えました。
障害のある人たちを、普通の仕事のやり方(時間帯とか、勤務時間とか、挨拶とか、)に当てはめようとするから、できないんじゃないでしょうか?8時間とか、6時間とか4時間とかでなくて、2時間くらい仕事して、ちょっと休憩して、また違う仕事に行くとか、そんな形の就労ができる人がいるんです。だから、いろんなパターンの仕事を用意してあげたらいいんじゃないかな?とおもうのですが。また、ちえちゃんのように仕事はできる、でも、面接とか最初の関門で引っかかってしまう人たちもいるのです。そこだけの支援もあっていいんじゃないかな?(メールで、仕事を申し込んでも、結局面接があるんですって)
うちのこどもたちは、ほんとに面白い。教えてもらうことばっかりです。
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