【掌編小説】蕎麦の鶴七
『蕎麦の鶴七』
ある夕刻、私は友人と一緒に蕎麦屋へ出かけた。駅から歩いてそう遠くない場所で、古風な構えの店だった。屋号は『鶴七(つるひち)』という。
のれんをくぐると、和風で穏やかな装飾になごむ。都会の喧騒とは打って変わり、店の中は静寂に包まれていた。期待に胸を膨らませていたら、蕎麦屋の主人が出迎えてくれた。
厨房からの熱気がテーブルまで届きそうだ。私と友人は少し悩み、あれこれ質問してから注文を決めた。すると、主人は微笑みながら言う。「その蕎麦を選ぶと思っていたよ。実はね、まだまだ秘密があるんだ」
興味津々で聞く私と友人に、主人は続けた。「その蕎麦は、ご先祖さまから受け継いだ特別なもので、食べると一つだけ願いが叶うーーいや、叶えられる場所に行けると言われているんだ。目を閉じて、こういう感じで……」
私と友人は驚きながらも、蕎麦が運ばれてくるのを待つ。何度か深呼吸をしてみた。ほどなくして、テーブルの上が賑やかになった。すでに好奇心は自制の水位をこえていた。
黙々と蕎麦を頬張る。喉ごしの良さと、蕎麦の風味に感動しながら、願い事を頭の中で思い浮かべた。しかし、目を閉じた瞬間、蕎麦の温かさが消えた。冷めたのではない。消えたのだ。私は思わず目を開けてしまった。
突然、見慣れない風景で周囲が埋め尽くされた。まるで時代劇に出てくるような町並みだ。私は自身の顔が蒼白になるのを感じた。友人もまた、同じように戸惑っていた。
私と友人は恐るおそる近くにあった蕎麦屋を覗いてみた。薄暗さに目が慣れると、奥の部屋で茶を淹れる老人の姿が見えた。老人は私と友人に気付き、にっこりと微笑んで言った。「ようこそ、蕎麦の鶴七へ」
老人は意外にも現代的だった。この店は特別な存在だと、私と友人に復習させてくれた。「この店はな、蕎麦を通じて願いが叶う場所なんじゃ。でもな、一度願いが叶ってしまうと……フゥ。近いうちにだ。その時空から弾き出されてしまうんじゃよ」
私と友人は驚きながらも、それを受け入れる覚悟を決めた。特別な力を持つ蕎麦を食べるたびに、私と友人は異なる時代や場所へと旅立つ。もちろん、良いことばかりではないだろう。生きて、違う時空の『鶴七』にたどり着ける保証もない。
その後、私と友人は『鶴七』に住み始めた。手間賃をもらえるほどには成長している。ただし、願いが叶えば、この世界から消えてしまう運命にはあらがえなかった。
だから、私と友人は選び直すことにした。安易に飛びついてはならない。どうしても叶えたい願いが見つかったとき、あの蕎麦を食べる。それが私たちの、密かな楽しみでもあった。
【完】
(※ 生成AIでかいた文章と絵を kayanoko works が人力で修正したモノです)
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美味しいお蕎麦は、それだけの価値があるってことですよ。お蕎麦食べたい。